天気は快晴で、今日は絶好のマラソン日和だった。新しい靴も買ったし、俺はマラソンをやるのが楽しみでならなかった。他の奴らは昨日に続けてマラソンだから嫌だと文句を言ってたけど、俺は気にしなかった。
先生が笛を鳴らして男子がスタートとする。俺は最初から飛ばして走って行って、他のみんなとかなりの距離を取った。だけど登りでだんだん靴擦れが激しくなってきて、俺は眉を寄せた。
新しい靴にしたのがまずかったのか、よたよたと歩きだしたら、後ろから肩を掴まれて、振り返ったら昨日会った風丸が居た。
「よう」
照れ臭そうに話し掛けたかと思ったら、昨日渡したハンカチを差し出してきた。しかも綺麗に洗濯までして、律儀な奴だと思った。
「サンキューな、風丸!」
笑顔でそう言うと風丸は咳払いを一つしてあのな、とか何か言いにくそうに口籠もる。俺は聞く耳を立てたけど、足の痛みが酷くてよろめいてしまった。
風丸が慌てて支えてくれて無事転けなくてすんだけど、心配されて靴擦れした足を見られた。
「なんだこの靴擦れは……」
自分で見ても酷い物で、俺はこんなになるまで走っていたかと思うと鳥肌が立った。すると目の前で風丸が膝を曲げて俺に背中を見せる。乗れ、と言われたのでおとなしく言う通りにした。
風丸の背中はなんだか暖かくて優しくて、胸がドキドキしてきた。
「あんたさ……」
「あ、俺円堂守!」
「……円堂は、修也とかいう奴に何かされたのか?」
変なことを聞いてくる風丸になんの疑問も持たず、俺は秋が修也って奴に告白して酷くフラれて、嫌な奴なんだと話した。
「でも中途半端に優しくして、変に気を持たせるのも酷だろう。円堂はそいつのこと何も知らないだろ?」
「……うん」
「それならまだ嫌なんて言うな」
「友達だったのか!?ごめんな」
「いや、そうじゃなくて……」
修也って奴が風丸の友達だったなら俺は酷いことを言ってしまった。風丸は否定してるけど、俺にはどうも関わりがあるようにしか見えなかったし、何より風丸がそこまで修也って奴を庇ってることに、笑みがこぼれた。
「優しいんだな、風丸は」
「いや……そんなんじゃない」
照れたように困っている風丸を笑顔で見つめた。気のせいか、風丸が凄く切なそうな目をしていたのは。



20100412
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