なんで私がこんなことをしなくちゃいけないのか、今日の体育は体力作りだと言い体育館の中をぐるぐると回っては走り、筋トレの繰り返しで、私は息が上がっていた。
隣でひいひい言ってるヒロトはスクワットなのに横になっているし、私も重い足でまた走りだしていたら後ろから声を掛けられた。
「は、晴矢……」
息が上がる私を見てにっと笑うと、晴矢は私の前を走った。私もそれに続いて、ようやくゴールした。私がふらふらになって壁に寄りかかろうとしたら、足元でずてりとヒロトがゴールして、転けた。
私はそれに声を掛ける気力がなく、床に倒れるヒロトにもたれかかると、晴矢と風丸と円堂も寝っ転がった。
「みんな、お疲れさま」
見学していた吹雪も私達の隣に座る。ジャージを忘れたとかで、吹雪はおとなしく制服で授業を見ていた。晴矢は大の字で床に倒れていたから、私もその横で寝転がる。
なんだか眠くて、目をしぱしぱさせていたらパチンとお尻を叩かれた。
「んー」
眠いから怒る気にもなれなくて、また目を瞑ればまた叩かれ、私は身体起こした。隣に居た晴矢が叩いたらしく、でも睡魔に負けてそのまま晴矢にもたれた。
晴矢は私を支えてくれて、安心して目を閉じた。周りのみんなが会話をする声が聞こえるけど、耳に通り抜けるだけだった。



授業は終わり昼食に、みんな体育でばてた身体を癒すように弁当を食べていた。晴矢は相変わらず行儀が悪く、私の隣で椅子に足を乗せていた。
「南雲くん、これあげるよ」
吹雪の箸につままれた梅干し、晴矢は好物だから喜んで食べるだろうが、はい、あーん。などと目の前でやるのはいくら吹雪でも許さない。私が目を光らせていたら、私の予想とは違い晴矢は梅干しを手のひらに受け取った。
ほっとして私が息をつくと、吹雪と目が合いにこりと微笑まれる。ぎくり、そんな感じがして慌てて目を逸らした。
「涼野くん、野菜、嫌いだよね」
「え、ああ」
「それ、僕に頂戴」
私の弁当箱に入るキャベツ、確かにキャベツは嫌いだから私が箸でつまむと、あーん、と吹雪が口を開いた。私が驚いて箸を止めると吹雪が私の手首を掴んでキャベツを口に含んだ。
「ふふ、おいしい」
「ちょ、吹雪」
「ん?なあに涼野くん」
「い、いや、何も」
熱が顔に集まり、私が慌ててご飯を口に入れると、また吹雪が柔らかく微笑む。触れられた細くて白い指先が私の頬に触れ、米粒を取って舐められた。
隣に居る晴矢がスプーンを落とした。唖然としていたのは私だけではなかった。



20100412
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -