今から体育の授業、晴矢が待っていましたと上機嫌でジャージに着替えた。私もいそいそと着替えていたら、ヒロトが苦笑いで私を見た。
「風介、胸元はだけてる」
「え?ああ」
胸元のボタンを一つ占めてジャージを着る。シューズを持って教室から出ようとしたら、下半身にちくりと痛みが走った。
「あッ?!」
思い切り振り返ると、酷く慌てた吹雪がおろおろして、その隣では晴矢が腹を抱えていた。私が二人を睨むと、吹雪は僕じゃないよと必死に言い張った。
しかし晴矢を見れば俺じゃなくて吹雪がやったと言い張っている。どっちだ。確かに吹雪は私の後ろに居たが、晴矢が普通に怪しい。
「ぼ、僕じゃないよ!?僕カンチョーなんてしないよ」
「分かってる、どうせ晴矢だろう」
「うん、……よかった」
「だが君も怪しいけどね」
「ええっ!?そんなぁ」
僕じゃないとまた隣で騒ぐ吹雪をからかいながら、私達は教室を出た。みんな体育が楽しみなのか、足取りは軽かった。



「あーうめえ」
体育で散々走りまくった晴矢は自分の水筒に入った水を飲み干していた。着替えるのも面倒なので私はジャージのまま鞄に荷物を入れて帰る準備をした。前の席に居る吹雪が振り返りプリントを渡してきた。それを受け取り後ろに居る晴矢に回した。
先生の帰りの話も終わり、各自帰ろうと荷物を持って教室を出て行った。
「晴矢、帰ろう」
私も帰ろうとして晴矢に振り返ったら、晴矢は目の前で手を合わせた。一瞬きょとんとして、首を傾げれば晴矢はバツの悪そうな顔をした。
「俺、部活やり始めたからよ。今日は一緒に帰れねえや」
「え」
「マジごめん!」
「……い、いや、大丈夫」
本当は晴矢と一緒に帰りたかったのに、でも好きで始めた部活なら仕方ない。一人で帰ろうと思っていたら風丸が横から入って来た。
「なら俺と帰るか?涼野ん家とは結構近いしさ」
「そうだね……うん、別にいいよ」
「んな?!」
声を荒げた晴矢に私は軽く手を振ると風丸と一緒に帰った。風丸は意外と紳士的で、私に気を使ってくれている。駐輪場に行くと風丸の自転車の二台に乗り、私達は二人で帰った。風丸の背中は晴矢とは違い、何故だか懐かしい感じがした。



20100409
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