晴矢とヒロトと一緒の授業なんて無いに近かったけれど、ようやく晴矢とは同じ授業がやってきた。私はそれに喜び、晴矢もご機嫌そうに鼻歌を歌っていた。ヒロトが一緒じゃないのは残念だったけれど。
パソコン室に入り、ずらりと机の上に並ぶノートパソコンに私は目を輝かせた。晴矢と隣だったらいいな、という期待は一瞬で砕かれた。
「涼野ちゃん、俺の隣らしいぜ?」
「な、」
私は手にあった教科書を落としかけた。冗談じゃない、これなら孤立した方がましだ。何故私の隣が不動なんだ。
不動も私の反応を予想していたように薄ら笑いをすると隣の椅子を指差した。それにぴくりと私は眉を寄せる。
「始まるぜ?早く座れよ」
教室の時計を見ればもう始まる時間だ。隣に居た晴矢も悔しそうに舌打ちをすると私から離れた指定の席にドカッと座った。
晴矢の隣がよかったと溜め息をついてから私は不動の隣に腰を下ろした。
「まあ仲良くしようぜ?涼野チャン」
「その呼び方はやめろ」
「ああ?連れねえなァ」
つまんねえ、と呟いて不動は机に肘をついた。こっちの台詞だ、貴様の所為で全く楽しめない。
先生の指示に従いながらノートパソコンを開き、配られたテキストを開いた。入力の練習らしい。
眼鏡を掛けて指で上げれば、隣からは痛い視線が来た。私が横目で見れば、不動は頬杖をついたままで私を凝視していた。
「……何」
「いや別に?眼鏡姿可愛いなァ」
「は、」
にやと怪しく笑うと不動は私から目を離してパソコンキーを適当に打ち付けた。私はよく分からずに渋々テキストを見て文字を入力した。調子が狂う、こいつは苦手だ。
「ねえ涼野ちゃん、」
「だからその名で呼ぶなと……」
「これ、漢字読めないんだけど」
「え?あ……袈裟だ」
「ふーん、けさか」
サンキュー涼野チャン、とさらりとのける不動に私は面食らった。しどろもどろで返事に迷えば、隣で不動が勝ち誇ったように私を見た。それで我に還った私は慌てて不動から顔を逸らした。晴矢の舌打ちが聞こえた気がした。



20100409
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -