今日は最悪だ。少人数に別れて授業をするメンバーが私だけ孤立とは、納得がいかない。晴矢とヒロトとも別だなんて冗談じゃない。私がへこんでいると、後ろから風丸に肩を叩かれた。
「涼野、大丈夫か?俺も別だけど、他はおまえと一緒だぜ」
小さく頷けば、風丸は私の頭を撫でて笑ってくれた。しかしへこんでいるのは私だけではなく、ヒロトはしょぼくれ、晴矢はふてくされていた。
「風介と一緒がよかったのに、先生は酷いよ!」
「また風介と違うとか、なんでだよマジありえねえ」
仕方ないから私は必要な教科書を持って重い足取りで出ようとすれば、風丸が後ろから声を掛けて来た。
「確か豪炎寺も一緒だったぞ?」
そうなのか、だけど教室を見回しても豪炎寺の姿はなかった。先に行ったと聞いて、なんだかイラついてしまった。置いていかれるのは嫌いだ、晴矢ならそんなことはしないのに。
「豪炎寺に置いて行くなって言っといてやるよ」
「……別にいいよもう」
せっかくの風丸の気遣いを断ってしまった。後で後悔はしたが、私に謝る勇気はなかった。風丸が残念そうな表情をした。私は逃げるように教室の扉を開いたら、廊下にはうじゃうじゃと生徒が移動を繰り返していた。私が一歩下がって晴矢に助けを求めれば、晴矢は途中まで送ってくれた。こういう晴矢の些細な優しさが私は好きだ。
「ありがと、晴矢」
「おう!がんばれな!」
時間を見れば後僅かで、私は急いで目的の場所へと走った。
ギリギリ間に合って中に入れば、豪炎寺が私を不思議そうに見ていた。おまえ同じメンバーだったのか、と目が言っていた。私はその視線を無視して指定の椅子に座り、教科書を開いた。



授業の終わりの鐘が鳴り、私は眠くて重い瞼を開けた。帰りも一人で教室に戻るのは少し寂しいが、私は黙って席を立った。みんながぞろぞろと帰る中、私も揃って帰ろうとしたら扉の前で豪炎寺が待っていた。立ちすくんで見ていたら、目が合って豪炎寺は小さく口元を緩ませた。
「行くぞ」
「あ、……うん」
先に教室へ戻ったと思ったのに、豪炎寺は私を待っていてくれた。これは、彼なりの優しさなのか私のことを忘れていた罪滅ぼしかは、分からない。



20100409
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