宮坂に廊下で捕まってしまい教室に戻るのが遅れてしまった。一緒に部活に行こうと誘ったのは俺なんだが円堂は待ってくれてるだろうか。
他の教室は静まり還っていた。もう居ないだろうと溜め息を吐いて教室に戻るのは止めた。廊下を歩きながらサッカー部の練習の声を聞いた。階段を下りて下駄箱に向かえば豪炎寺が入り口の前で仁王立ちしていた。
俺はそれに瞬きをすると豪炎寺は俺を見て不思議そうに見た。
「円堂は?」
「え……もう練習してるんじゃ」
「居ないぞ」
「!」
俺は脱いだ上履きを踏んで履き直した。自慢の足で階段を駆け上ると自分の教室まで一直線に走って行った。
「円堂……!」
扉を勢い任せに開けると机に突っ伏す円堂が居た。
俺があんなにうるさく入って来たのに円堂は静かに眠っていた。一安心して円堂の席に近寄ると隣の席に鞄を降ろす。
部活に行く為に円堂を揺すり起こしてもなかなか起きない。
「円堂、起きろよ。円堂」
「んー……えんじぃ」
「……」

“豪炎寺”

寝言を言うほど豪炎寺が好きみたいだ。俺は黙ったまま机に顔を埋める円堂の顔を覗いた。
「円堂……豪炎寺が、好きか?」
なんだろう、円堂はただ豪炎寺を友達として好きだと言っているだけなのに、俺にはそうは聞こえない。聞こえないんだよ、円堂。
分からないんだこの感情と感覚と胸が焼けるような苦しみが。

「教えてくれ円堂」

この気持ちはなんなんだ。

お前の隣は昔から俺だった筈なのにいつの間にか豪炎寺、鬼道、立向居と、どんどん俺達に距離が出来てしまったようで致し方ない。
悩む俺を余所に円堂は気持ち良さそうに眠る。円堂の頬を人差し指でつつけばふに、ふに……柔らかい。その唇も柔らかいのだろうか、俺はだんだんと思考がおかしくなってきた。身体も自然に円堂の唇に寄って行く。

あと少し、あと1p……

「円堂、風丸!早く部に顔を出せ!」

教室の扉が開かれるのと俺の足が机にぶつかったのは同時だった。さすが俺の反射神経、だけど足は痛かった。
豪炎寺もタイミングが悪い。眉をしかめる程に俺達を見る。さすがに豪炎寺には見られたようだ。

「風丸、お前円堂を呼びに行ったんじゃなかったのか?」
「……はは」

起こしたけど起きなかった円堂にキスをしようとしていた。
そんなことは言える筈がなく、ただ机にぶつけた足が痛んだ。


20100317
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