いつものようにおにぎりを作って、いつものようにドリンクとタオルを配った。ありがとう、と当たり前に言われたその言葉とさりげなく触れた手と手が何故か胸に染みた。不思議に思い胸に手を当てた。とくとくと正常な脈打で、何も異常はなかった。
「音無、この前の話だけど」
「えっ?話ですか?」
「?ああ、やっぱり俺、サッカー一筋で行きたいから」
ごめんな、と苦笑いで言われたけど私にはなんのことだかさっぱりで、ぱちぱちとまばたきをしていた。
「私、何か言いましたか?」
「え?昨日のアレ、告白だろ?」
「告白……?」
今度は風丸さんが首を傾げてまばたきをする番だった。昨日、昨日?ああ、もしかして私のあの発言なのかな。風丸さんって脚も早いしかっこいいし、なんだか彼氏にしたらすごく自慢出来そうですよね!のアレかな。それとも、風丸さんってお兄ちゃんに無いかっこよさがあって好きです!とかかな。
「でも私、告白したつもりは……」
「へ?あ、そうなのか?」
間違えて悪いな、と風丸さんは恥ずかしそうに頭を掻いた。私がお兄ちゃん以外の人を好きになる筈がないのに。風丸さんは腰を上げて汗を拭き取ったタオルを私に預けて練習に向かった。長い髪を見送りながら私は風丸さんの背中を見つめた。頑張ってくださいね、と微笑んでいたらなんだか切ない気持ちになった。どうしてだろう、さっきの告白の話が頭から離れなかった。
「春奈ちゃん、悩み事?」
ぼうっと風丸さんから預かったタオルを見ていたら秋さんが覗いてきた。悩み事なのかどうでもいいことなのかなんて私には判断できない。だけど私は小さく頷いて、タオルを握り締めた。
「私、見てましたか?」
「え?」
「風丸さんのこと」
「……うん、そうだね。風丸くんの話をする春奈ちゃんはすごく嬉しそうだったよ」
あれ、そんな素振り見せた記憶もない。でも考えれば考える程、私の頭は風丸さんでいっぱいになった。お兄ちゃん以外に好きと言う感情があふれでているのだろうか。結果的に風丸さんを期待させるような発言をしたのは私だ。どうしてかっこいいとか好きとか言ったんだろう。
「告白してたんだ、私」
今更恋をしていることに気付いたなんて、私ってお兄ちゃんの妹失格かもしれない。風丸さんを見つめれば、私の心臓は嬉しそうに弾んだ。



気になるなんて


(ほんと、今更)






20100620

風音気になったから書いたけど、うーんイマイチ
風丸と音無いいと思ったんだ。
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