あたし、女じゃなくて男になりたかった。だってそうなれば円堂達とだって普通に一緒に風呂に入っても許されるし、寝る時だって一緒にキャラバンの中で寝れるんだ。
なんか女って不便だ。あたしはあたしのやりたいようにやってるのに、夏未や秋はあたしが円堂と一緒にいることを不服に感じているのかそうでないのか、たまに2人して顔を見合せては笑い合っている。
よくわからない。あたしは秋みたいに周りの気遣いなんて出来てないし、夏未みたいに大人っぽい雰囲気でみんなを支える経済もない。あ、経済はあった。これでも総理の娘だからな。
あたしがドリブルでボールを蹴っていたら、秋がタオルを持って寄ってきた。サンキュー秋、とタオルを受け取り首に巻いた。これがオヤジ臭いと夏未に不愉快がられたがあたしはあたしだ。オヤジではないがこれが一番楽なんだ。
だってほら、綱海や豪炎寺だって首に巻いて汗を拭いてるじゃないか。女の子なんて関係ないと思うけどな。
「塔子ちゃんは、円堂くんのこと好きなんだよね?」
「ああ、そうだな。円堂もみんなも好きだ」
「恋愛対象じゃないんだね」
「あたしが恋愛?考えたこともないなあ」
苦笑いで流す秋の表情はあたしの反応を予想していたのか、やっぱり、と言った。そして安堵する。
「恋は、素敵なことだよ。塔子ちゃんも見つかるといいね」
「うん、そうだな」
「塔子!バタフライドリーム強化しよか!」
「ああ、いいよ!」
あたしは遠くで手を振るリカに軽く手を上げて返事をし、秋にタオルを渡した。
リカのところまで走っていったら、練習や!って笑顔で手を繋いできた。バタフライドリームは手を繋いで一緒にシュートを決める技だ。よし、リカと一緒にこのシュートを最大まで極めてやる。
「ウチらなら出来る、な!塔子」
「ああ!」
強く握られた手が汗ばんできて、離したいのに離したくない。このシュート技を極める為に繋いだ手は、確かにあたしの小指に赤い糸を絡めた。

秋、見つけたよ。


あたしリカと一緒にいたい。



20100421
アンケートで女の子が多かったから丁度書こうとしてた塔リカを初書き
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