※ヒロインが電話でしゃべり倒すだけ。拙い大阪弁には目を瞑っていただけると嬉しいです。


「あ、もしもーし、けんちゃん? うちやけど……ってあれ? あんた誰? けんちゃんの電話で何しとるん? なに? けんちゃん、風呂? なんや、タイミング悪いなぁ。ってあんた誰やねん。 あ、うち? あんた知らんのん? 聞いて驚かんといてや……。カノジョやカノジョ。あのけんちゃんが惚れた女ですぅ。なんや、うしろうるさいわぁ。で、あんた誰? え、なんて? イサシキ? 魚の名前言われても、うち、魚嫌いやからわからへん。他かわって、他。一番偉い人にかわってー。――あ、もしもし? うわぁ。あんた、えらい男前な声しよるなぁ。モテるやろ? モテへんの? もったないなぁ。うちがフリーやったら今この場で告白すんねんけど。でもゴメンなぁ、心に決めた人がおんねん。で、あんたは誰? え!? 結城さんって主将さんですやんか!! うわ、恥ずかしいわぁ。すんません、ご無礼を致しまして。いえいえ、けんちゃ、じゃなくて前園健太がお世話になってますぅ。あ、帰ってきよりました? かわって頂けます? ――もしもし、けんちゃん? うちやで、うち。ちょっとなにぃ、けんちゃんうちのこと忘れたん? ほんまいけずやわぁ。チビのときからけんちゃんのお茶碗にご飯よそってきたんはうちやろ。なに? それは砂場の話やって? 砂場も何場も関係あれへん。男の癖にそないちっこいこと気にしぃな。ちゅーか、うしろうるさい。けんちゃんの部屋どうなってるん? ん? カノジョ言うたよ。なに? え、本気にしとるの? いややわぁ、東京の人は冗談も通じへんのん。あ、そうそう。電話した理由な、けんちゃん今日誕生日やろ? 祝ってやろ思て。うん、バースデーメールもしたで。べつにええやん、電話のほうが嬉しいやろ? ちゅーことで、けんちゃんおめっとさーん! 電気たこ焼き器? あぁ、それ送ったんうちやわ。どう? つこてる? なに? 材料がない? 小麦粉とタコぐらい自分で買うて! まぁええわ。うちが明日どえらい美味しくつくったる。え、知らんのん? けんちゃんのおばちゃん、もしかして言うてない? ちょい待っててや。(おばちゃーん! けんちゃん、うちら行くん知らん言うてはるよぉ。――えぇ? 言うの忘れた? ちょっとぉ、今から呆けるんは堪忍してやー) あ、もしもし? 言うてないて。ま、今言うたからええやろ。ほな、明日! あ、うちのおかんもおるからよろしゅうな! けんちゃん、おやすみぃ!」

(2014/07/29)
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