07
11月になると寒さは厳しくなった。
今週の土曜日には、ハリーのクィディッチのデビュー戦が控えていた。グリフィンドールvsスリザリンだ。
金曜の夜、カレンとロンがハーマイオニーに手伝ってもらって宿題をしていると、どこかへ行っていたハリーが帰ってきた。

「今、職員室に行ってきたんだけど…」

ハリーは、スネイプの片足が血だらけになっているのを見たという。そして、スネイプが三頭犬の悪態をついているのも聞いたらしい。

「それって、つまり…」
「三頭犬が守っている物を、スネイプが狙ってる…ってこと?」

カレンが言うと、ハリーは頷いた。

「だけど何を狙ってるんだろう…あの犬は何を守っているんだ?」

ハリーの疑問に、答えは出なかった。

翌日。空は明るく晴れ渡り、絶好のクィディッチ日和だった。
カレン、ロン、ハーマイオニーは観覧席の最上段に陣取った。群衆は赤と金のグリフィンドールカラーか、緑と銀のスリザリンカラーに染まっていた。ハグリッドは双眼鏡を装備していた。選手が入場し、試合開始のホイッスルが鳴った。

「さて、クァッフルはグリフィンドールのアンジェリーナ・ジョンソン選手が取りました」

解説はフレッドとジョージの親友リー・ジョーダンだ。初めて見るクィディッチに、カレンはわくわくした。危険と隣り合わせのクィディッチだが、スポーツというものは心を楽しませてくれる。
まだスニッチは見つかっていないらしく、ハリーは遥か上空を一人で飛んでいた。そしてブラッジャーをひらりと避けたとき、それは起きた。ハリーが急に、空中をくるくる回ったり左右に揺れたり、ひっくり返ったりした。明らかにおかしい。まるで、箒がハリーを振り落とそうとしているみたいだ。

「どうしたんだろ…?」
「箒のコントロールを失ったんじゃ…」
「ハリーに限ってそれはないわ」

箒は激しく揺れ、いまやハリーは片手だけで箒にぶら下がる状態だった。

「箒に悪さをできるのは強力な闇の魔術だけだ」

ハグリッドの言葉を聞いたハーマイオニーは、双眼鏡で観客席を見回した。

「思った通りだわ。スネイプよ」

カレンとロンも双眼鏡を覗いた。スネイプが、ハリーから目を離さずに何かをぶつぶつと呟いている。

「あれって箒に呪いをかけてるの?」
「僕たち、どうすりゃいいんだ?」
「私に任せて」

そう言うとハーマイオニーは観客席を降りて行った。その間にも、箒はハリーを振り落とそうとしている。

「ハーマイオニー…早く…!」

しばらくすると、箒は大人しくなった。ハーマイオニーは成功したようだ。
箒が正常に戻ったのを感じたハリーは、再び箒にまたがることができた。

「やった!」

カレンとロンはハイタッチをして喜んだ。
箒にまたがるとすぐに、ハリーは急降下した。全員の目がその先へと向いた。金のスニッチだ!ハリーが手を伸ばす…もう少しだ…

「「いけえええ、ハリー!!」」

カレンとロンが叫ぶ。そのとき、ハリーはバランスを崩して前のめりに箒から落ちてしまった。幸い、地面に近い高さだったので怪我はなかったようだ。ハリーは両手でお腹を押さえながら立ち上がった。

「どうしたんだ?」
「なんか気持ち悪そう…」

次の瞬間、ハリーの口から金色の何かが飛び出してきた。ハリーはそれをキャッチした。

「金のスニッチ…?」
「え、てことは」

ハリーが金のスニッチを取った。グリフィンドールが勝った!

「「やったあああああっ」」

カレンは、グリフィンドールのみんなと一緒に喜んだ。170対60で、試合はグリフィンドールの勝利に終わった。
試合の後、カレン、ロン、ハーマイオニーはハグリッドの小屋で、先程起こった一部始終を話した。

「スネイプだったんだよ」

三人はハリーとハグリッドに説明した。スネイプが箒に呪いをかけ、ハリーを恐らくは殺そうとしたであろうことを。

「馬鹿な。なんでスネイプがそんなことをする必要がある?」

しかしハグリッドは否定した。

「あいつ、ハロウィーンの日に、三頭犬の裏をかこうとして噛まれたんだよ」
「何かはわからないけど、あの犬が守ってる物をスネイプが狙ってるんだと思う」
「なんでフラッフィーを知っちょるんだ?」
「フラッフィー?」
「あいつの名前だ。去年パブで会ったギリシャ人から買った。俺がダンブルドアに貸したんだ、守るために…」
「守るために、って…何を?」

カレンが聞くと、ハグリッドはハッとした。

「もうこれ以上聞かんでくれ。重大秘密なんだ」
「だけどスネイプが盗もうとしてるんだよ」
「スネイプはホグワーツの教師だ。そんなことをするわけなかろう」
「でもハリーを殺そうとしたのよ」
「お前さんらは間違っとる!」

ハグリッドは大声を出した。

「ハリーの箒がなんであんな動きをしたんか俺にはわからん。だが、スネイプは生徒を殺そうとしたりはせん。
四人ともよく聞け。お前さんたちは関係ないことに首を突っ込んどる。いいか?あの犬のことも、犬が守ってる物のことも忘れるんだ。あれはダンブルドア先生とニコラス・フラメルの…」
「ニコラス・フラメル?」
「その人が関係してるんだね」

ハグリッドは、自分がうっかり口を滑らせたことに怒っていた。しかしカレンには、ハグリッドが口の堅い人には思えなかった。

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