私は朝から憂鬱だった。
(ついてないなぁ…タイミング悪いよ。今日は久しぶりに清田さんと出掛けるのに…)
数時間後には待ち合わせ場所へ行かなければならないのに、私はなかなか布団から出られないでいた。
女の子は服のコーディネートに、メイクに、ネイルに、ヘアスタイルに…やることがいっぱいあるのだ。
もうそろそろ布団から出ないと間に合わない。
頭では分かっていても、激痛に悩まされている私にはそれが不可能に近い。
最悪なことに鎮痛剤もカイロも切らしてしまっていて、打開策は見当たらない。
…そうです。今日は月に一度訪れる女の子の日なのです。予定より早くきてしまいました。
(でも、ドタキャンしたら清田さん怒るよね…)
そう思った私は、体に鞭を打って起き上がる。
急いで準備し、なるべく温かい格好をして家を出ることにした。
「遅ぇよ!」
「す、すみません…」
15分の遅刻。生理初日の倦怠感からか身体が重く、急いだ割には時間がオーバーしてしまった。
清田さんは眉を顰め、怒りを露にしていた。
(あぁ…また機嫌悪くさせちゃうのかな……)
しゅんと肩を落としていると、目の前に清田さんの手が差し伸べられる。
私の予想と反して、清田さんの表情は柔らかいものへと変わっていた。
「ほら、手。さっさと行くぞ」
「あ…はいっ」
ぶっきらぼうな言い方とは裏腹な彼の優しい手に、私は嬉しくなって自分の手を絡める。
いわゆる恋人繋ぎというやつだ。そんな私の行動に、清田さんは少し顔を赤らめる。
(清田さん、可愛いな…やっぱり無理してでも来て良かったかも)
清田さんに触れている安心感からか、痛みが緩和していくような気がした。