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「お?」
「あ…」

「………」



目の前に立ちはだかっていたのは、リモコンを片手に無言で睨みつける清田さん。



「やだ、創ちゃんてばおっかない顔しちゃってー。どうしたのよ?」



そんな茶化すような桜庭さんを無視して、清田さんはドスの利いた声を出す。



「…おい、美月」

「は、はい…」

「お前何ベタベタしてんの?」

「そんな…してないですよ…」

「そうだよ、創ちゃん。コミュニケーションだろ?」



緊張感のない桜庭さんの一言に、清田さんの片眉がピクリとつり上がった。



「あんたのコミュニケーションはどんだけ過剰なんだよ?!話すなとまでは言いませんけど、距離ってもんがあるでしょう。いちいちくっつきすぎなんですよ…って聞けよ!!」



桜庭さんはいつの間にかテレビ台まで行ってチャンネルをいじっている。



「ありゃー…映画終わってんじゃん。なんか面白いのやってっかな」

「桜庭さん!!」



言い争いが始まりそうな予感。まさか、喧嘩になるんじゃ…


だが私の心配をよそに、あっさり桜庭さんが「降参でーす」と手を上げた。



「あーはいはいはい。創ちゃんが美月ちゃん大好きなのはよぉ〜く分かったって!平和主義で行こうよ。なっ?」



そう言って無理矢理清田さんと握手を交わすと、桜庭さんはゆったりした歩調で自室へ戻って行った。



(よかった…)



ホッと胸を撫で下ろしたのもつかの間。清田さんの鋭い眼孔が私を射抜く。



「…どういうつもりだよ」

「すみません…」

「いつも思うんだけど、嫌なら離れれば?」

「で、でも…それじゃ桜庭さんに失礼じゃないですか。あっちは意識してやってるわけでもないのに…」



清田さんの表情が一層険しくなり、突き放すように背を向けられた。



「あぁ、そうかよ」

「清田さん…」

「……本当は桜庭さんの方がいいんじゃねぇの?」

「え…」


(何、言ってるんですか…?)




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