私たちは賑やかなショッピングモールを歩いていた。
「混んでますね」
「まぁ日曜だからな。みんな考えること同じなんじゃねぇの?」
周りは家族連れやカップルでごった返しており、すれ違う人々の顔はみんな楽しそうだ。
そんな空間にいると、こちらまで気分が高揚してくる。
大好きな清田さんと大好きなショッピング。私は自然と顔が綻ぶのを感じた。
ふと、ショーウインドーに飾られている色とりどりのアクセサリーに目を奪われ立ち止まる。
「うわぁ…」
華美なものから清楚なものまで取り揃えてあり、どれも女性客を魅了する可愛らしいデザインだ。
「女ってそういうの好きだよな。どこが良いんだか」
「だって綺麗じゃないですか。見てるだけで楽しくなっちゃいます」
ウキウキしている私を見て、清田さんがフッと笑う。
「どれが良いんだ?」
「え?」
「買ってやる」
「で、でも…悪いですし」
「何今更遠慮してんだよ。俺が良いっつってんだから良いんだよ!」
そう言って清田さんは私の手を引き、入口の扉を開ける。
店員さんの元気な"いらっしゃいませ"と、ノリの良いBGMが耳に入ってきた。
目当ての売り場まで来てどれにしようか迷っていると、清田さんが妙にそわそわし出す。
「あのさ…俺隣の店に用あるから。戻ってくるまでに好きなの選んどけよ」
清田さんの手が離れるとともに、彼の足は再び入口へと向かう。
「あっ、あの…」
「すぐ戻るよ」
(行っちゃった…何か買うのかな。……あれ? そういえば隣の店もアクセサリーショップだったけど、ここで買うんじゃ駄目なのかな?)
疑問を覚えつつも、私はいくつかのネックレスを手に取った。
(うーん…どれも可愛い)