ゆっくりと彼のそばへ近寄る。私の姿を確認すると、フッと笑みを浮かべる智也さん。
「湯上がりの一杯でもどう?」
そう言って差し出されたのはグラスに入ったカルピス。受け取るとひんやり、私の熱を奪っていくようで心地好い。
「ありがとうございます」
一口飲めばやはりよく冷えていて、私の熱を芯から宥めていった。
軽く喉を潤していると、彼の手が私の髪へと伸びる。一束掬って、優しいキスが落とされた。
「…サラサラだな。ずっと触れていたい」
色っぽい囁きに思わずドキリとする。
少しの間弄ばれて。
くすぐったさを感じて身をよじれば、彼の手が滑らかに移動して、私の頬に触れる。智也さんから伝わる体温。また私の体が熱を帯びていく。
憂いを孕んだ瞳が私を捕えた。
「智、也さ…」
名前を呼び終える前に唇が塞がれる。
触れては離れ、触れては離れ…繰り返しているうちに夢中になってきてしまう。
智也さんの背に腕を回せば、彼も私を求めるように力強く抱き寄せてくれる。
次第に深くなっていく口づけは、止みそうにない。絡まる舌の柔らかさと激しさに、快楽と苦しさを覚える。
「はぁ…っ…ん」
苦しさの方が限界を超えて、彼の胸板を押すも離してもらえず。体の力が抜けてしまい、後ろへ倒れ込む私。
その拍子にスカートがめくれて、直す前に智也さんの指先が太股に滑りこんだ。
反射的に体がびくついてしまい、智也さんの唇が漸く離れる。見上げれば彼のそれが、二人の唾液で潤っていて妙に艶やかだ。
「もう一度…抱きたいな」
思いの外真剣な顔で。
私は脳がパンクするのではないかと錯覚した。