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崩れ落ちそうになる私の身体を細い外見のわりにしっかりした腕が支えてくれる。

(もう、ダメ……)

何も考えられなくなって、首に回した腕が離れようとした時。

「あー、もう!翔吉強すぎ!オレ、不利じゃんかー!」

突然、バタバタと足音が聞こえ、桜庭さんの声が暗室の隣のアトリエに響いた。

その声に、ハッと我に返ると同時に、一瞬にして薄れかかっていた意識が戻る。

パッと身体を離そうとした私を、栗巻さんの強い力がそうさせまいとさらにきつく引き寄せ、抱きすくめられた。

「栗巻さん……」

「シッ……じっとしてて」

小さく声をあげかけた私の唇に人差し指を当てて、ピシャリと制する栗巻さん。

薄い壁を隔てた向こう側で、桜庭さんはキャンバスをガタガタと動かしているようだった。

「サクさん、絵描くみたい」

(う……なんだか……)

ホッとしたような、残念なような、複雑な気持ちで胸がモヤモヤする。

さっきまでの熱くて甘い、とろけるような時間を思い出して、顔が一気に熱くなった。

「美月、可愛い。続き……する?」

「えっ?」

耳元で小さく囁く栗巻さんの言葉に、思わず大きな声を出しそうになり、慌てて手で口を押さえた。





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