ぷうっと頬を膨らませて見せる裕ちゃんが可愛くて、思わず吹き出してしまう。
裕ちゃんのくるくる変わる表情を見ていると、何だか元気になって。
この表情がすごく好きなんだ。
「いいから、いくよ……」
“えっ”と声を上げる間もなく、目の前に赤いものが飛び込んで来て、私は無意識にそれを抱きしめた。
「ナイスキャッチ!さすが美月♪」
抱きしめた裕ちゃんの上着は、裕ちゃんの匂いとタバコの匂いが混ざっている。
顔が綻ぶのを感じながら、袖を通した。
「オレの愛、受け取ってくれた?」
「……うん。裕ちゃん、ありがとう」
「いーえ。……なあ……」
にっこり笑った裕ちゃんの声音が変わり、真剣な顔で私を見つめて来た。
ドキッと心臓が高鳴るのを感じる。
「こっち……来ないか?」
「えっ?」
「明日まで待てない……今すぐ、美月に触れたい……」
少し頬を染めて、潤んだ瞳の裕ちゃん。
(私も……)
身体に纏った裕ちゃんの匂いとその目に誘われるように、私は裕ちゃんの部屋へと足を運んだ。
「時々……この壁を壊したいって……思う……時々、じゃ……ないな……」
扉も閉めきらないうちにきつく抱き寄せられ、唇を塞がれ。
キスの合間にそっと囁く裕ちゃん。
「ふふ……そんなこと……清田さんに……怒られちゃう……よ?」
「ははっ。まあ、そこまではしないけどさ……」
唇を離し冗談めかして小さく笑うと、私の髪をなでながら、首筋にキスを落として来る。
耳にかかる呼吸が、私の気持ちを高ぶらせていき、少しずつ頭がボーッとしてくる。
「美月……好きだ……ずっとこうしていたい……」
「裕……ちゃん……」
「オレのすべては……美月なんだ」
――――End.
→感謝の気持ち