第2章 05


 庄能はまだ体を震わせている僕の体に

「汚れてしもたやろ、あ? 誰が出していい言ったんや、汚い」

と、その手に付いているものを擦り付けた。僕はされるがままになり、ただ庄能に一瞬でも気持ちいいって思ったことを気付かれへんように祈った。だけど庄能はそんなこととっくにお見通しやったみたいで、ニヤリと笑って、猫撫で声で僕の頬を撫でながら言う。

「在有はこんなことされるんイヤや言いながらほんとは嬉しかってんやな。気持ちよかったんやろ?」

 僕は庄能の手を振り切ろうと首を横に振ろうとするが、庄野は僕に首を降らさせんで、

「どやねん? 淫乱在有ちゃん。ん?」

と顔を覗き込んで聞く。そのどこか茶化したような口調に、僕は恐怖と絶望を感じた。

「どうや、言うてんのや、答えんかっ」

 僕は怒声にびくっと大きく体を震わせて、虚ろな目で庄能を見上げた。庄能の手の動きに合わせて首を縦に振らされた瞬間、庄能は僕の頬を一つ小さく叩き、勝ち誇ったように高らかに笑い出した。そのままよたついた僕は、肩をトンと押され、無様に尻餅付いた。

「ええ格好やな、汚いおまえにはちょうどいい格好や」

 おまけとばかりに庄能は僕の足を自分の足で蹴って開かせて、そのまま中心を踏みにじってくる。僕が痛みに呻くのを楽しくてしょうがないって顔をして見下ろしていた。

 僕はその夜布団を頭から被って寝た。パジャマも下着も返してもらえなくてただ涙がぽろぽろと零れる。

 何も感じない心が欲しいと願いながら……





 朝まだ暗いうちに目が覚めて、僕はもぞもぞと起き出して庄能に取り上げられた下着とパジャマを探した。だけどどこにもなくて、僕は泣きそうになる。僕はその時、自分がどんなにみっともない格好で探しているかなんて全然気付きもせんかった。いつの間に起きたのか、庄能が僕の後ろに立ち、

「おまえの探し物はみつかったか? ん?」

と、僕は剥きだしのお尻を思いっきり蹴られる。

「……やっ……」

 僕はそのまま前のめりになり、慌てて手を付く。それは庄能の目に自分でも見たことのない姿を晒すはめになってしもて、痛いより恥ずかしい方が強かった。僕は庄能の表情はまったく見えなくて、庄能がどんな顔をして僕を見ているか全然想像もつかへんかった。

 僕は起き上がろうとして、さらに庄能に蹴られ、惨めで哀しくて、知らない間にぽろぽろと涙を零していた。それは何度か繰り返され、僕の心はどんどん挫けていく。

「在有、ええ格好やなあ」

 庄能は恍惚として言いながら、お尻の中心目掛けて、まるでサッカーボールを蹴るように大きく振りかぶって、蹴る。

「……ッ……」

 あまりの痛さに、あまりの仕打ちに、僕は息を飲み込み崩れ墜ちた。

「在有、おまえみたいな親ですら誘惑するような汚い奴は、ちゃんと罰を受けやなあかんのやで?」

 ……そう、お母さんが殺されたんは僕のせい……ヒモが僕を犯したのも……きっと、僕のせい……

 僕は徐々に心を壊して、できるだけ何も感じないように努める。庄能は僕の腰をグイッと持ち上げる。一度お尻を撫でられ、唐突に平手で叩かれる。パシッと言う音ともに熱を持ち、庄能はその中心に何の施しもしてくれることなく、容赦なく指を突き刺した。

 息を飲む、ヒューって音が自分のものだと気付くのに時間がかかり、体は硬直する。未熟な僕の体は、引き裂かれるような痛みに逃げようと試みる。庄能はそんな僕の体を引き戻し、指を増やしていく。



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