白石とユウジ
学校からの帰り道、
「ユウジ、怒らんでや?」
俺はそう言うけれど、ユウジは俯いたまま。
「約束遅れたこと、謝るねん、ホンマにすまん」
俺はユウジと帰る約束をしていた。
しかし、放課後に、顧問のオサムちゃんに呼び出され、大会の話をしていたら遅くなってしまった、というわけだ。
ユウジは俺の机に突っ伏したままで口も聞いてくれなかった。
それは現在進行系で。
せっかく二人で帰ってるのに。
「ユウジ、許してくれへん…?」
「…。」
「なあ、すまん…、」
「…オクラ」
ユウジがボソッと呟いた。
ユウジの好きなオクラを買えば許してくれるっちゅう事なんかな?
「オクラで、ええの?」
「お、おんっ」
ユウジが顔を上げてふにゃっと笑った。
「なら、買いに行くで」
俺はユウジに手を差し出した。