X'mas



クリスマスが近くなったある日のこと。

「謙也さん、クリスマスプレゼント交換しましょ」

「へ?」

後輩でもあり恋人の財前光が隣でボソッと呟いた。

「何アホ面してんすか」

「やって…いきなり」

「俺ら付き合うてるんやから当たり前やろ?」

財前が当然のように言う。
確かに…クリスマスと言えばカップルがイルミネーションを見たり、プレゼントあげたりっていう雰囲気やしな。

「わかったで!」

「ほな、12月24日に駅前で、ええですよね?」

「…おん」

「楽しみにしてます」

当日までの数日間、
俺は財前のプレゼント探しをした。

やって…エエもんあげたいやんか。

親友、白石蔵ノ介にも相談し、前日やっとのことでプレゼントを買った。
白石オススメの少々高めのモノ。

「これで財前もイチコロやで」

「おおきにな、白石」

12月24日、駅前はカップルで溢れていた。

「財前っ!」

「謙也さん」

周りから見たら男同士で寂しい、なんて思われるかもしれへん(ちゅーか既に思われてるはずや)けど、
俺はめっちゃ幸せやった。
二人で店回って、喋って…手を繋げないのは残念やけど。

とうとうメインのでっかいツリーの前に来た。

俺たちは人混みのない場所を探す。

「謙也さん、来年も一緒におって下さい」

財前がそう言って小さな箱を出す。

「え、え」

「…今はまだ安物やけど」

中に入っていたのは指輪だった。

「財前…おおきにな」

俺も袋を出して、財前に渡す。

「俺…こういうのセンスなくて…沢山探して、白石にも手伝ってもらったんや」

「白石部長ってのが気に入らないけど、時間かけてくれてありがとうございま、」

財前は袋をあけながら、言いかけて止まった。

「財前…?」

「何やねん、コレ」

ひょいと取り出したソレは、他でもなく俺が買ったモノ。

「パンツ、やけど」

「それは分かってるねん、デザインやわ」


星柄に「君と絶頂!」
とデザインされたパンツ。
「一応、ブランドやで…?」
「絶頂とかもろ白石部長やん」

「これで財前もイチコロやって…気に入らへん?」

「まあ、ええっすわ」


翌日の12月25日。

財前の家に行ったら、
財前があのパンツを履いていて俺は散々喘がされることになったのはまた別の話や。

んんっー!絶頂!

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