財前は俺の側に寄ってくる。

「謙也さん。かわええなあ、ホンマに」

「離せやっ、何するんっ…」

俺は身を捩ってせめてもの抵抗をする。

「…まあ、そう言ってられるのも今のうち、やで?」

財前はポケットに手をいれる。
カチッと部屋に音が響いた途端、
俺のナカのものが動き出す。

「あッ、うっ、あっ…痛い、っんっ」

「分かります?バイブ、入っとるんすわ。これ遠隔操作可能なんやで?」

そういってスイッチを見せつける。


「ひ、いっ、ぁっや、あ抜いて、っ」

「せやなー…、謙也さん、オカンに電話して。やっぱり5日泊まるって」

「5日?っ…1日や、ない、んっ?ぁっっ、ふっ」

「親、1週間くらい帰ってこないっすわ。せやから」

俺の鞄を漁り、携帯を取り出す。

「下手なマネはせんでな?」

財前の手にはカッターが握られている。


「ッ…プーっ。もしもし、謙也?どないしたん?」

財前は無言で携帯を渡す。
それと同時に俺を振動が襲う。
きっとバイブは最大。

「ぁあっ、ぅ、オカ、ン?っ」

「どないしたん?」

「はぁ、うっ、やっぱり、5日間、財っ、前、とこ泊まるねんッ」

「ふざけとんの?財前くんに迷惑かかるやん、明日帰ってきい」

財前は俺から携帯を取り上げる。

「何もええんすわ。ウチの親、1週間旅行行っとるんで。まあ、ええもんは食わせられまへんけど。これやったら一緒に部活も行けるし」

財前が笑いながら言うと、オカンも笑って言う。

「ホンマに?謙也が我儘言ってすまんなあ。なら、よろしゅうね」

「いえいえ」

ブツっと電話を切って財前がこっちを見る。

「謙也さん…これで2人きり、やね?」



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