「謙也さん、ほっぺ痕残ってるやん…」

財前の声が遠くで聞こえ、頬を触られてる感じがする。

「…謙也さんアホやわ」

唇が塞がれる。
舌を絡め取られる。

「ん、ふぁ、ぁ…っ」

息苦しくなって目を覚ますと目の前には財前がいた。
財前を引き離して問う。

「何で…お前ここに居るねんっ…!」

「謙也さんが心配だったからっすわ」

「はあ?女のとこ行けや、アホ」

「アホはアンタっすわ。ちゅーか卵焼き失敗したん?」

「うっさい!!」

「謙也さんのオカンが言ってましたわ、突然料理し始めて失敗したって」

「…だって」

「…何すか」

「家庭的な、女の、子が好きやって、書い、てあったか、ら」

また涙が零れる。
悔しい、料理もまともに出来ひんくて。

「だからアンタはアホなんや」

「何が…っ!」

「俺かて、好きなタイプは謙也さんっすわ、せやけどあんなのに書けへんやろ」

「…え?」

「全校生徒が見るんやで、無理やろ、分かる?」

「ぁ…ぉ、おんっ」

「だから、安心してや、俺は謙也さんが好きです」

「財前…んっ」

そう言って財前は俺の涙を舌で掬う。

「無理して、家庭的にならなくてもええねん」

俺は自分から財前の舌に自分の舌を絡める。
貪るような深いキス。

「はあっ、う、っぁ、ふっ、んっ…」

「謙也さん、シてええ?」

俺は首を縦に振った。



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