家に着いて、俺はオカンに言う。
「オカン、卵焼きの作り方教えてや」
「はあ?何言うとるん?」
「ええから、教えて」
オカンに卵焼きの作り方を丁寧に教えてもらった。
俺は財前に食べてもらおうと一生懸命作った。
もう完成も間近、というところで変な匂いがしてくる。
「謙也!!焦げとるわ!!」
ひっくり返すのが遅かったのか、裏は真っ黒だった。
「何やねん、これ」
「謙也、アンタ料理しない方がええわ」
「何やねんこれ、美味しくなさそう」
オカンと、弟の翔太にそう言われ俺は、
「もういいねん!!家庭的な女の子なんかなれへんわ!!」
と言い放って部屋に行った。
「家庭的な女の子やって、謙也、男やのになあ」
「意味分からへんわあ」
俺は、部屋に入って扉を閉めベッドにダイブする。
「財前はどうせ女の子の方がええんやろ」
視界が歪み、涙が頬を伝う。
俺は、こないに好きなのに。
「財前の、アホ…」
そして俺はそのまま意識がなくなり、眠ってしまったのだった。
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