「ざ、、っぜ、ん大、丈夫か」

「謙也さん、っ何で」

「ボディーガー、ドや」

そう言って謙也さんは目を閉じた。


「謙也さんっ……ッ!!」


俺は謙也さんに縋りついた。
周りなんてもう、気にせん。
謙也さん俺の側から離れへんで、
ずっと一緒に居ってや。



――。

気付くと病院に運ばれていて、
俺は謙也さんの病室に居た。


「謙也さん」


俺は謙也さんの手を握る。


「目、覚ましてや」


返事は、ない。


「謙也さん、またダブルスやろうや」


この「怪我」じゃ当分無理かもしれへん。
まあ治療したら、きっと。


「謙也さん、俺伝えたいことがあるんやで、まだ言えへんけど」


だから、謙也さん起きて?
じゃないと伝えれへんわ。


「けんや、さんっけんやあ、さんっ」



俺は病室と言うことも忘れて泣きじゃくる。
その時、握っていた手がピクリと動いた。

「謙也さん…?」

「ざいぜ、…っん、」

「謙也さん!」

「つたえ、たいこと」

「え」

「おし、えて」

俺は嫌な予感がした。

「嫌や、言いたくない」

「はよ、」

謙也さんが辛そうに涙を流して笑う。
俺の手を力の限り握り返して。


「謙也さ、ん好きや」

「お、れもやで」


その時、ピーっと病室に音が鳴り響く。
それは謙也さんがもう居ないっていうことを示す音。


「けんやあ、っさん、起きて」


「ダブルスやるんやろ…、なあ、両思いなんやろ、俺ら」


謙也さんを揺するけど、目を開けてくれることはもうなくて。
俺の目からはただ涙だけが流れていた。



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