ご主人様 *
俺らの中学、四天宝寺中はもうすぐ文化祭がある。
メインの出し物と言えば部活動対抗の模擬店がある。
そのため、四天宝寺中テニス部レギュラー陣は燃えていた。
まあ、俺以外なんやけど。
「文化祭の何も決めてないで」
「ここは部長の蔵リン、何かないん?」
「俺は、喫茶店がええと思うねん」
「喫茶店…ねえ」
「ちょっと普通すぎるんじゃなか?」
「もうそのことも考え済みで…」
「何かあるんか?」
「1人女装するってことにしたんや!」
白石部長がでかい声で言いきった。
エクスタシーとかぶつぶつ言ってるのは触れないでおく。
「…部長キモ」
「なんやと、財前。なら何か案あるんか?」
「ないっすけど」
「ならええやん」
「俺も賛成やで―白石とかめっちゃ美形やしな」
「俺は女装する気ないで」
「じゃあ、誰やるねん」
「じゃんけんや」
白石部長は自分で提案しておきながら、
女装をするのはじゃんけんだと言い出した。
「最初はグーじゃんけん、」
何回かじゃんけんを繰り返した結果、
予想はしてたが、負けたのは謙也さんやった。
「嫌や、女装なんて、ふざけんなや」
謙也さんは今更文句を言っている。
「ちゅうか何で、白石がやらんの?ホンマ俺やる気ないで」
「文句は言わせんで、じゃんけんで皆納得したやんか」
「嫌やー…っ!まず、女装ってなに着るねん?」
謙也さんが聞いてみると、
白石部長は部室の奥からメイド服を持ってきた。
「これやで!ユウジ達のお笑いのネタで使ったやつ」
「そやでー小春が着たんやからな、大事にせえや」
「何や、このフッリフリ!嫌や、」
「謙也ー…部長命令やで」
「職権濫用やで!」
「難しいこと言わんと、さっさと着てみい」
「…わかったわ、俺がええって言うまで見ないでな」
「女子か」
結局、優しい謙也さんは
誰にも押し付けることなく着替えに行った。
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