連れ込まれた先はトイレやった。
俺はトイレの入り口付近の壁に寄りかかる。
ここだと声がよく聞こえる。


「なあ、財前くんやめて俺にしいや」

「何言うとんねん、俺は財前が好きや」

「まあ、そう言わんといて…」

「ちゅうか、お前にはっ…ぁっ」

謙也さんが言いかけた時だった。

「謙也はココ弱いもんな」

「ひゃあっん、やめえっ頼むっ…」

「ここで、出してもええねんで?」

「やっん、アホ、っもうやめえっンっ、トイ、レ」

とぎれとぎれに聞こえる喘ぎ声のようなものに
俺は堪え切れなくなって、謙也さんを助けに行く。


「謙也さんっ」

「おー…遅かったなあ、財前くん」

「…財前っ!?」

俺が見た光景は、謙也さんが、侑士さんに
くすぐられていたところだった。

「謙也は腰、くすぐられるの弱いんやで?」

「うっさいわ、何やねん、今日は俺の暴露大会か」

謙也さんは顔を背けて言う。
そんな謙也さんと侑士さんの会話を聞いて、
俺はその場にしゃがみこんだ。
何やねん、こないに心配して入ってきたんに。

「財前?大丈夫かっ…?」

「心配させんといて…下さい」

「スマンなあ、財前くん。でも俺は謙也のこと好きやないで」

「え、侑士俺のこと嫌いなん?」

「恋愛対象としては、好きやないねん」

また、侑士さんが謙也さんの耳元でエロボイスで囁いた。
謙也さんは顔を真っ赤にした。

「俺やって、財前しか好きやないわ!!」

「ほな、2人で仲良くな、俺は先帰ってるで」

そう言うと、侑士さんは俺の方に歩いてきてすれ違いざまに

「財前くんの行動、おもろかったでー」

どうやら、俺の行動は全部バレていたらしい。
俺は侑士さんが見えなくなった頃に謙也さんを抱きしめた。
トイレに来た奴に見られるかもしれない、なんて頭の中にはなかった。
見たい奴は見ればええねん。

「財前…っ?」

「謙也さん、何もされんで良かった」

「でも、くすぐられた、で」

「いや、セックス、とか」

「あほ、何言うとんねん、そんなこと財前とかしないねん」

「…謙也さん、なら、シよ」

「は、トイレやし、ここ、誰来るかっ…」

俺は謙也さんの手を引っ張って個室に入る。

「ここならええやろ」

「財前っ…」

「俺、不安やったんすわ、侑士さんに取られないか」

「せやけど、明日試合あるし…、」

「…そうっすか」

確かに謙也さんの言うとおりだ。
試合に支障が出るものならば、
四天宝寺の名にも関わるし、
白石部長に何を言われるか。

でも、俺が少し落ち込んだようにすると
謙也さんは俺を便座に座らせて
静かにハーフパンツを下ろした。

「不安にさせてごめんなさい」

そう言って、俺自身を口に咥えた。

「ざひぜ、んのっ」

「……おいしい?」

コクコクと頷いて俺自身を丁寧に舐め上げる
謙也さんはとても可愛らしかった。

「おいひ、れす、ざいぜ、好き、信じ、て」

「俺の方がもっと好きやわ」

俺は謙也さんの頭を優しく撫でてやる。
謙也さんは心地よさそうに上目遣いで俺自身を咥えている。

その顔、犯罪やろ。

謙也さんの舌の動きとその表情にに俺は我慢が出来なくなり

「謙也さんっ…アカン、出そう」

しかし、謙也さんが口を離してくれず、
そのまま舌で俺自身を舐め続け、俺を絶頂へ導く。

「だひて、口ん中、ざひぜ、んの」

「アカンっ…イくっ」

ビュっと謙也さんの口の中に精を放つ。
謙也さんは喉を鳴らして飲み干した。

「謙也、さんっ、大丈夫ですか」

溢れた精液を口で拭う謙也さんは色っぽかった。

「…財前のやから、平気やで」

謙也さんはニコっと笑って俺を見上げる。

「アホ」

「先輩に向かって何言うとんねん」

「今すぐ押し倒したいっすわ」

「ばっ、白石に怒られるわ」

「なら、明日試合勝ったら沢山ええことしてやりますわ」

そう言った俺の顔を謙也さんは、
嬉しそうに見つめていたのだった。


( 従兄弟なんかに負けへんわ )



おまけ

「ファーストキスいつですか」

「知らんっ、侑士にチューされたことなんかないわ」

「…騙された」

「俺は、財前が初めてやねん」

「今日侑士さん泊まりに来る言うてましたけど、ヤラれないでくださいね」

「何言うとんの、財前以外に抱かれたくないねん」


いつもはへタレのくせに、
こういう時だけ、かっこええわ。

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