光謙 *
「おはよう、財前。」
朝の電車は嫌い。
人が多くてうるさいし、立ってるの疲れるし。
でも、この人がいたら別なんや。
「おはよーございます。謙也さん」
「相変わらず不愛想やな」
謙也さんは無理矢理俺の隣に来る。
周りの視線がすごい。
―――周り見ろ、入ってくんな。って。
「謙也さん、ちょお無理矢理すぎません?」
「ええの、俺財前の隣に来たかったんやし。」
この人は天然なんか。
俺はこの人の言葉1つ1つで嬉しくなったり苛立ったり、悲しくなったりする。
そんな俺を見た謙也さんは、
「財前、顔赤くあらへん?大丈夫か?」
ああ、ホンマに天然か。
俺はこの人混みを利用して、謙也さん自身を上から触る。
「ちょお財前、何しとんねん、やめれや」
謙也さんが俺を睨むけど、その目は誘っているようにしか見えない。
ついでに耳元で囁いてやった。
「謙也さんが、悪いんすわ」
そして俺は構わず手を動かす。
彼は声を出すまいと手で口を押さえている。
「声出しちゃまずいっすもんね、まあがんばり。」
謙也さんはわかってない。
声を押し殺すその顔が、物凄く俺を煽ってるってことを。
「なら、やんなや」
「無理っすわ、ちゅうか、謙也さんもここでやめられたら、辛いんちゃう?」
謙也さんは下を向いて無言だった。
これは「OK」の合図。
「謙也さんめっちゃ勃ってますやん。今楽にさしてやりますから」
そういうと俺は下着に手を入れ謙也さん自身を
激しく上下に扱き、絶頂へ誘う。
「んやぁ…ッ、やめ、や、イッて、まう」
涙目で俺を見つめ、俺にしか聞こえない小声で呟く謙也さん。
「イッて下さい」
そう言うと俺は激しく手を動かした。
同時に謙也さんの体がブルっと震えて体の力が抜けたようになる。
俺はそれを支えて聞く。
「ああ、イッたんすか。」
「はあ、は、どないすんねん」
謙也さんは息を整えて俺に一喝する。
これから学校なのに、どうしてくれるんだ。ということなんだろう。
「すんません。」
「あー…気持ち悪。」
「あんなにヨガってたのに?」
「うっさいわ。」
顔を背ける謙也さんに俺は微笑みかける。
「謙也さん、怒らんといて」
「…。」
「あまりにもかわいすぎたんや。」
そう言った俺の方を、
真っ赤な顔して見てきた謙也さんは誰よりも可愛かった。
( かわいすぎるのも罪やねん。 )
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