誰よりも、大切な *





今日は財前と遊ぶ約束をしている。
電車で4駅。

「ホンマ楽しみやなー」

いつもなら嫌な満員電車で、
座るところもないのだけど、
今日は全然嫌な気がしない。

――財前と、付き合って3カ月。

俺からやっとの思いで告白して、
財前も

「俺も謙也さんの事好きっすわ」

って赤い顔して言ってくれた時、
俺は涙を流して喜んだ。

同性同士、なんて関係ない。
俺は財前が好きで、財前も俺が好き。

キスだってしたし、
その上にあたる行為もした。

俺は財前を受け入れる側で
初めは、痛くて痛くて辛かったけど、その分嬉しかった。

財前と一緒やと、毎日が幸せやった。
そして、今日は部活もオフで1日中財前といれる。

1個目の駅を通過した頃俺は携帯を取り出す。

「財前に、メールせんとな」

――あと3駅で財前のとこ着くで。駅で待っとってな

あと3つ待てば財前に会える、楽しみやなんて思いながら
送信ボタンを押した時、俺は尻に違和感を感じた。
最初は手があたっただけ、そう思っていた。

だけど、それは違った。
2個目の駅手前でその手は速度をあげる。

「嫌やあ…っ」

男の俺が痴漢にあうなんて。
女と間違えているわけでもないだろう。
この現実が、信じられなかった。


「兄ちゃん、感じとんの?ちんこ勃ってるで」

「うっさ、ぁっ…い、ねんっ」


声の方を見上げると俺より少し背の高い男だった。

そいつの手の動きは電車の揺れに合わせているかのようだった。
そして手は尻から前に伸びてくる。
俺は片手でを口を抑えて声を出さないようにする。

「ふぁっ…っ…、んっ…やっ」

「声漏れてるで?、もう痛いくらい勃ってるねん」

俺の下着に手を突っ込み、
男なら誰でも知っている場所を緩く扱いてくる。
俺は、手を離して小さい声で言う。

「もう、やめて、やぁ…ホンマに…」

でもそいつは緩急をつけて扱いてくる。
俺は脚をガクガク震わせながら吊革を掴む。


「イキそうなん?痴漢にちんこ扱かれて?」

そう耳元で聞こえた時、電車が止まった。
2個目の駅に着いたようだった。

同時に人の出入りが活発になる。
そいつは一旦、手の動きをとめた。
俺がそいつを見るとニヤニヤ笑っていたのだった。


「もうちょっとで、イけたのにな」

俺はそいつの言葉を無視して携帯を取り出す。

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