秘密のレンアイ *
昼休みも終わりが近づいたころだった。
「お前らー熱ないねん、早く教室戻りー?」
「やだー、授業戻りたくない」
「せやかて、本当に体調不良な奴が来たら寝られんやろ」
そういって俺は、保健室に来た女子生徒たちを一斉に帰す。
昼休みの雑談は(先生の話や愚痴、恋愛話など、さまざま)
俺にとって楽しい時間の1つだが、
生徒たちにはきちんと午後からの授業も受けてもらいたいため
いつもそう言って教室へ帰す。
ちゅーか、あっちはこんな保健医と話していて
楽しいのかはよく分からない。
単にサボりたいだけなのかもしれないけど。
「ふぅー…さて仕事するか」
静かになり、仕事を始めようとレポートを出したところで
保健室のドアからノックが聞こえる。
低く響く声で、
「失礼します」
あぁ、やっぱりコイツか。
「今、やっぱりコイツかって思ったやろ?」
いくら高校生でも多すぎるんじゃないか、と思われる5個のピアス。
顔は美少年。クールで大人びいたそいつが立っていた。
「そりゃ、思うやろ。頻繁に保健室に来る男子はお前しかおらんで」
「そりゃあ、嬉しいっすわ」
「何がや、ちゅーか、授業受けんでどうすんねん。留年すんで」
「俺は天才だからええんすわ」
そう、この財前光は、学年でもトップクラスの成績を取っているらしい。
職員室で先生から聞いた話だが、部活もテニス部で活躍しているとのこと。
「ほな、俺は仕事するさかい、黙って寝とってや」
俺が椅子に座ってレポートに取りかかろうとすると、
後ろから財前に抱きしめられる。
「…仕事、なんてする気ないやろ?」
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