逆嫉妬 *





俺は今日謙也さんと話していない。
謙也さんが教室に来ても寝たフリをしていた。

謙也さんと付き合って早半年が経つ。
同性同士ということも乗り越えて
今まで一緒にいたけれども、
こんなのは初めてだと思う。

謙也さんは多分、戸惑っているはずだ。

でも、嫌いになったわけでも、
別れたいわけでもない。

まあ、理由があるねん。


俺は部活の時も謙也さんをほとんど無視だった。


「ざいぜ、」

「ユウジ先輩、そこのボール拾ってくれません?

謙也さんは多分、なんでやろ、
とか思っているんやろな。


「財前、一緒に打とうや」

今度は間近に来て目を見て言うから、
俺は少しだけ謙也さんを見上げたが、
やっぱりスルーで通り過ぎる。

そして、ちらっとそちらを見てみた。


あぁ、謙也さん、肩が震えている。
泣きそうなんやな。
ホンマ、かわええ。

俺に依存しすぎて俺だけしか
考えられなくなればええわ。



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