嫉妬 *



「ユウジのモノマネほんまおもろいわ」

「そーか?そりゃ嬉しいわ。小春にも言わんとな。おおきに」

「謙也さあ、もうちょい太った方ええんとちゃう?」

「ちょお白石、触んなやー」

休日の部活終了後、部室で着替えているときやった。
今日は終わったらぜんざい食いに行こうって約束しっとたのに
謙也さんはずっと、ユウジ先輩と白石先輩と3人で話している。

話しているのを見るだけでも嫌なのに、体触られてるとかホンマ嫌やわ。

謙也さん嫌がっとらんし。
白石部長とか下心見えすぎやろ。
こっち見てニヤニヤしてくるし。
でも謙也さんは気付いてない。

つまらんわ。めっちゃ腹立つねん。

謙也さん、あんた誰のモンや。


俺はバンっと部室に音が響くくらい思い切りロッカーを蹴った。
今まであちこちで盛り上がっていた会話が静まり、
皆が俺を見るけどそんなのどうだってええ。

「―謙也さん、ちょお来いや」

「え、あ、ちょ、待ってジャージまだ」

「ええですよ、着なくても」


無理矢理、謙也さんの腕を引っ張り、
ひと気のない校舎裏に連れてきた。

「痛い、財前、痛いねん、待ってや」

「痛い?うっさいわ、自分が何をしたか分かっとんの?」

自分でも驚くくらいに低い声が出た。
謙也さんは怯えたような表情を浮かべ俺を見る。

「財、前、俺ちゃんとぜんざい食う約束忘れてないで…?」

謙也さんは約束のことで怒っていると思ったらしい。
ホンマ呆れるわ。

「ぜんざいもうええっすわ。それより、アンタが誰のもんかちゃんと教えとかなあかんと思って」

そう言って謙也さんを壁に思いっきり押しつける。
身動きができないくらいに。

「さっき何してました?ユウジ先輩とか白石部長とかと」

「何…って普通に話してた…だけやわ」

「あれが普通?白石部長なんて下心丸見えやないすか」

「違う、違うねん。」


この期に及んでまだ親友である白石部長を庇おうとすることが
俺はとても許せなかった。

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