「で、どう思う?」

「…そりゃー…困ったな」

俺が、財前のことを好きということは
唯一、バンドのボーカル白石蔵ノ介だけが知っている。

「財前くんは、何て言いたかったんやろな」

「分からへん。でも、財前はきっとかわええ女の子が好きなんやと思うで」

「…誰が決めたん?」

「…やって…!」

「…そうやって逃げてたら、ホンマに女の子を好きになるかもしれへんで?」

「…でも、財前が…俺のことなんか」

「そうや、歌詞。歌詞を少し変えればええんちゃうの?」


白石が歌詞を見て言う。
そこにギターのユウジ、ベースの千歳、キーボードの小春が加わる。

「何や、歌詞変えるん?」

「…片想いで、相手の気持ちが分からん場合、どういう歌詞にしたらええと思う?」

「謙也くん、恋してるんー?」

「…ちゃうけど!」


やはり、小春は鋭い。

「好きなら、伝えるしかないやろ、なあ小春ー!」

「せやね」

「謙也は、光くんが好きと?」

「な、ななななな…」

「図星たい」

「そうなん?せやったら、財前1人を招待して曲聴いてもらえばええやん」

「ユウくんナイス!」

「んじゃ、謙也が歌詞を考えるとね」

「な、それ、告白やん」

「せやで、謙也。こないチャンス滅多にないわ。3日やるから曲考えてきいや」




結局、俺の恋はバンドメンバーに知れ渡り、
告白するための曲作りもすることになった。

…何て言ったらええのかわからへん。

けれど、皆が協力してくれるんやから、
ちゃんと伝えようと思う。





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