雨の日 *




「委員会、長引きすぎやわー…」

今日は休日なのに臨時で入った放送委員会の仕事で
正午くらいにようやく学校を出ることができた。

帰るとき、大体は財前が隣にいるけれど、
今日、本来は学校が休みなわけだから当然一人で。

「雨、降りそうやなー…。傘持ってきてへんわ」

空を見上げると黒い雲が全体に広がっていた。

そういえば天気予報で通り雨が降るかもって言ってたか。
まあ、俺は浪速のスピードスターやねん。
何かあれば走れば良いっちゅう話や。

なんて、呑気なことを考えながら歩いていた。


ザアアアー…


「え、ちょおいきなりすぎやん。」

急に、強い雨が降ってきた。
俺は突然のことに焦るも、走って
とりあえず、雨に当たらないところを探した。

何分か経った頃にコンビニがあったため
雨宿りをすることにした。


「…こないにいきなり降ってこなくてもええやんか」

もちろん、制服はこの短時間で結構濡れており、
髪からも水が滴り落ちていた。

「どないしよ、寒いし、髪もくずれとるし」

俺の家はまだまだ先で
ここから電車通りに出るのも時間がかかる。
雨はまだ止む気配はない。

そこで思いついたのはやはり、財前だった。
財前は後輩であり、恋人である。
財前の家はここから近かった。

「休みやし、まだ寝とるかな?まあええか」

迷うより、行った方が早いと考えた俺は
音を立てて降っている雨の中に突っ込んで
財前の家へと向かった。

近いとはいえ、着く頃にはもう制服を絞ると
雨水が大量に出てきそうなくらい濡れていて
髪もぺちゃんこでそれはもうひどかった。

インターホンを鳴らすと、財前の無愛想な声が聞こえ、扉が開く。

「謙也、さん?…」

「ちょお、急に雨降ってきたんや、雨宿りさして」

財前はとても驚いている様子やった。

「謙也さん、はよ入って。タオル持ってきますわ」

そして急いで中に入るように促した。
俺は財前に続く。

「あんた、アホっすか。どこの天気予報見ても雨って書いてるやん」

「水も滴るええ男、やろ?」

「ホンマ、アホや。はい、タオルっすわ。拭いたらシャワーどうぞ」

「あ、おおきに」

財前に渡されたタオルで最低限頭やら全身やらを拭く。

かなり濡れたんやなぁ…と思いながら
拭いていたが視線を感じたため
見上げると財前が俺を見つめていたのだった。


「財前、どないしたんや?」

「謙也さん乳首、透けとるんすけど。」

低い声が響き、俺は下に視線を移す。
全然意識してなかったが、はっきりと透けていた。


「え、あー…ホンマや、全然気づかんかった」

俺は恥ずかしくなって顔がだんだん熱くなっていくのが分かる。

「下に何か着るとかすればええのに」

そういった財前に返事をしようと思ったら
俺は玄関のドアを背に押し付けられていた。

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