< 幸村視点 >
「名無しさんちゃんおはよう」
「幸村くんおはよーう」
名無しさんちゃんは一緒のクラス。
こうして通学途中会うと
一緒に学校に行ったりする。
名無しさんちゃんは、明るくて女の子らしい。
…それで、俺が、好きな人。
「幸村くん、昨日ね育ててた花咲いたんだよねー」
「あぁ、言ってたやつかい?」
「それが、可愛くて、今度写真見せるね」
「うん、よろしく頼む」
無邪気に話す彼女は、本当に可愛い。
容姿とかだけじゃなくて、性格も。
ガーデニングの話も合うし、
何より一緒にいて楽しい。
でも俺はなかなか自分の気持ちを伝えられない。
この関係を無くしたら、と思うと動けない。
それに、俺の他にも彼女を好きな人はいると思う。
だってほら、教室に着くと
クラスの友達が集まってきて、
男子だってちらほら見てるし。
ああ、嫌だな。
そろそろ動かなきゃ、駄目かな。
何もせずに、
取られるのだけは、ごめんだね。
( あぁ、こんなにも君が好きなんだ )