「ねえ、私は赤也くんが好きなんだ。」

私は、幼なじみで同級生の丸井ブン太に
自分の気持ちを言った。

「え?赤也…?」

ブン太はとても驚いた様子だった。

「うん…何か…結構前にブン太の試合見に行ったじゃん?」

「あー…あの時、名無しさん、赤也と話してたっけ」

「…うん、それでその後も赤也くんから挨拶してくれたりして」

「なるほどねーいいよぃ。俺に任せて」

ブン太はニカっと笑って、ガムをふくらました。

「さっすが、ブン太、ありがとう」


その後、数日経って私は赤也くんに告白された。
赤也くんも私が好きだったみたいで、
だから挨拶とかもしてくれてたって、
真っ赤な顔して言ってくれた。

「俺、先輩のこと守るっスから、年下だけど、心配しないでください」

そういった赤也くんはすごいかっこよくて、
私は赤也くんのこと好きになれてよかった、
ブン太に感謝しなきゃって思った。

なのに。


赤也くんと付き合い始めた次の日、
私はブン太にお礼と報告をしようと、ケーキを作ってきた。

でもブン太は教室にも廊下にもいなくて。
屋上かなと思い向かうと案の定、ドアは少しだけ開いていた。

「ブン…」

私は言いかけて止めた。話し声が聞こえる。
多分、ブン太と、仁王くん。


「なあー仁王、付き合うことになったみたいだなー」

「おー赤也もよろこんでたぜよ、ずっと好きだったみたいだしのう」

「俺、ちゃんと自分の気持ち言っておけばよかった、名無しさんが好きだって」

「…ブンちゃん、縁結びの神様になってるぜよ」

「ほんと、アホだよぃ。名無しさんが俺の気持ちに気付いてたら、何か変わったかもなぁ」

「ブンちゃん、泣きんしゃい」

「でも…っ、俺は、それ、でも名無しさんには…幸せになってほしかったんだよぃ」

「わかるぜよ、その気持ち」


え、どういうこと。ブン太が私を好き?

嘘…、でも確かにそう言った。


ブン太は私を好きでいてくれた、それなのに願いを聞いてくれて、
私の恋の協力をしてくれたの?


そう考えると私はいても立ってもいられなくなって、
ケーキを持ってまた教室に走った。

途中、赤也くんがいたけど、気付かないふりをして。


「…私だけが、幸せになっていいの?」


ブン太のあの声が、あの言葉が私の頭から離れなかった。


…名無しさんには…幸せになってほしかったんだよぃ。


( 気付いてほしかった )

( 気付かなければ、よかった )







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