世の中には、並行世界というものがある。
それは俗にパラレルワールドと呼ばれ、
その世界の人間とはかかわることなどできない。
それは当たり前のことだった。
私名字名前は開盟学園の2年生。
それなりに日々を過ごし、笑って生きてきた。
スケット団と呼ばれる彼らに相談しに行ったり、生徒会にからかわれたり。
趣味のサッカー観戦もファンとして楽しんでいた。
池袋で親友の帝人たちと会うのも楽しみだった。
架空の物語の図書館戦争を読みふけってみたり、マンガを読んだり。
特によんアザとタイバニが好きで好きでたまらなかったり。
そんな生活にまさか変化が起きるなんて思ってもみなかった。
母親が亡くなった。
率直にいえばそうなるだろう。もともと病気で心臓が悪かった。
最愛の母を亡くした私は心に靄が掛かってすっきりしていなかった。
心の奥に穴がぽっかりと開いて、どうすればいいのかさえわからなくなってしまった。
生活リズムが狂う、狂う、狂う、
もう何日学校に行ってないんだろう。
近所の人は心配し、ときどき様子を見に来ることがあった。
父親とは離婚しており、今更頼ることもできない。
「お母さん、」
お母さんの形見のぬいぐるみを抱きしめる。
誰もこの気持ちをわかってはくれない。
そう考えると自然に涙が出てきた。
あいたい、あいたい、
その気持ちは涙となってぬいぐるみに落ちていく。
「なんや、自分すごい泣けるんやな」
「………は?」
ぬいぐるみがしゃべっ…しゃべっ?
「シャベッタアアアア!!」
「大きい声出すなアホォ!!」
えっぬいぐるみが関西弁で喋ってるううううううう?!?!?!
「ったくなんや自分はよ起こしてぇな…ずいぶんまったんやで?」
「知らねえ知らねええよおおおおおお!!!」
「ま、ええわ、まっとったでアリア、お前が目覚めるのを」
「え、だれアリアって」
「誰も何も、アリアはお前やろ?」
「いやいやそんな外国人みたいな名前じゃないし、名字名前だし」
「取りあえずアリアにお願いや、 二ノ国を救ってくれ!!」
「いやアリアじゃねぇし… はい?」