とても素敵な丹波さんをいただきました

丹波聡さんと私の関係はぶっちゃけ変。っていうか、神様は私たちを出会わせるつもりだったのかな。


あの日、私は家に向かうバス停で突然降り出した雨に立ち往生していた丹波さんと出会った。その日たまたま折り畳み傘まで所持していた私は、そのいくつも年上であろう人が、なんでか捨て猫のように見えてしまった。


だから決して、かっこいいから仲良くなりたいとか下心があったわけでも、ましてや運命の出会いを演出したかったわけでもない。捨て猫を撫でてやったような感覚だったのだ。


そりゃあ傘を貸したことも忘れてたのに、あの日と同じように空を見上げながら私を待っていてくれた丹波さんには少しキュンとしたけど。


7つも違うのに「運命の出会いみたいだね!」とキャピキャピはしゃぐような人じゃないと思ってたから驚いた方が強かったし。


そのまま勢いで連絡先を交換して、私たちは友人になった。私はと言えば働きはじめてからろくな出会いもなく、女の子として扱ってくれる丹波さんに擬似的恋愛感情を抱いてしまったみたいだ。


私もちゃんと女の子だったんだなぁ、なんて変な感心や恋に対するわくわくはほんの一瞬で、と擬似がだんだんと本物へと近付いていく恐怖のせいで丹波さんに会うのが嬉しくなくなってきていた。


だって、いつも違うオシャレなレストランに連れてってくれるのも、きっと前に誰かと来たからでしょ?私の髪型とか小さな変化にすぐ気付いてくれるのも、きっと女の子の扱いになれてるからでしょ?楽しい話をしてくれるのに、泣きたくなる。このお話をしたのは私で何人目?


私は何にも知らない。彼の恋愛歴はもちろん、家も仕事も家族も恋人も。それなのに、彼のことばかり考えてしまう。自分から連絡する勇気はないくせに、いつまでも連絡を待ってしまう。


こんなの、もうやめにしたい。


あの日、傘を貸したのが私じゃなくても丹波さんは同じことをしたの?私は、あそこにいたのが丹波さんじゃなくても傘を貸したよ?ほんの、それだけのことなんだ。


好きな人ができました。
もちろん丹波さんじゃないですけど。


来る前からさよならする、と決めていたんだ。それでも、元々口下手な私はなかなか切り出せないでいた。「どうかした?」顔を覗き込むようにしながらかけてくれた言葉が優しくて、辛くて、ようやく想いが溢れた。


それなのに、丹波さんは慌てる様子もなく笑った。そりゃそうか、私と違って擬似でも本物でも恋愛感情なんてなくて、友人に好きなひとが出来たんだから。それがまた苦しいなんて、私はどんだけ我が儘なのだろうか。まだご飯は残っていたけど、立ち上がり会釈をして去ろうとしたところ、腕を捕まれた。


好きな人いるけど。
というか君のことだけど。


「駄目だった?」と丹波さんの優しい声に全てのもやもやがどこかに消えてしまった。丹波さんが掴んだ手首から、全部を吸い取ってくれたのだろうか。っていうか、好きな、ひとって。何か、何か、言葉を脳内からかき集めようとするも、いつもは散らばりまくりなのに、今ばかりは空っぽでなにも出てこない。


「駄目じゃないよね?」


なんで好きなひとが出来た、と言ったのに彼はこんなに余裕しゃくしゃくなんだろうか。勘違いされるよりは良いけど、私だったら。いや、丹波さんは私じゃないんだから。私にはない部分をたくさん持ってる人だから。


聞いてもわからないことが多いかもしれない、また苦しいこととか辛いことが増えるかもしれない。だけど、だけど、逃げるばかりじゃなくて、ちゃんとこの人のことが知りたい。そんなたくさんの想いを込めて今は小さく頷くことしか出来ないけど。


神様、私たちは出会うべくして出会ったんですか?そう信じても、良いですか?


神様の落とし物




1100413
風鈴ちゃんに捧げさせて頂きます!

掲載が遅くなって申し訳ありません><
ふおおおお丹さんんんんん!!!!
むらちゃんありがとう、そしてありがとう!
茶会参加もありがとう!
これからもよろしくお願いします^o^≡^o^
風鈴



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