それ俺のスタンドです | ナノ
もりのようかん


「ええい、まだジョースターが生きているとはどういうことだ!」
(明かりも灯さぬ地下の、四角く繰り貫かれたその部屋で、ヒステリックな女の声が響き渡る。今回の襲撃も結果的に不発に終わったことに腸が煮えくり返っているのだろう)

「も、も、申し訳、け、あ、ありません」
(呂律の回らない男の声は、限りなく抑揚を抑えた声で詫びる。その肩や腹を古びた燭台やら爪で引き裂かれた枕やらが貫通していくが、男は全く気にした様子がない。)
「お、お身体に、障ります、DIO様の、ごご五番目のお子の無事を最優先に、」
「やかましゃあああああああーーーーーーーーーッ!」
(ガチャン!バリッビチャビチャと忙しなく騒音が鳴り響き、暫くすると急にしんと静まり返る。嗚咽混じりの女の嘆き声が部屋に充満してきたところで男はランプに灯を点した)




(女の顔はこの世にこれ以上無いほど醜かった。顔の造形が美しくないという意味ではない。体にもあちらこちらにひどい水疱ができて、元は完璧なプロポーションだったであろう体型は不自然な肉で膨れ、栄養を補給するための管が何本も突き刺さっており、時々潰れたところから緑色の粘液を滴らせた)

(女の額には何か丸いできもののような肉塊が埋め込まれ、時折生き物のように動き、細胞を破壊し、女の体を乗っ取ろうとしていた)
「……でぃ、DIO様の“肉の芽”が、が、ぼ、暴走して、も、理性をー、保っていられるのは、世界で貴女、ただ、一人……だ、だだけなのです」
「DIO様には息子が必要、なのです、そして、貴女が最後だ」

「どうか、世界のために」








「HOLY S×IT!写らんとはどういうことじゃ!」
(金属の音がする左拳を机に叩きつけ、ジョセフは冷や汗を垂らす。彼の横にはいくつもの砕かれたカメラの部品が散乱していた)
「これも……この写真も……同じような杉林ばかりでアジトを割り出せる手がかりがまるでないぞ!どういうことだ!?」
「クソッ!敵スタンドからの情報通りの場所へ偵察に行ったというSPW財団からの報告はまだなのかよォーッ!」


(ジョセフ、アヴドゥル、ポルナレフはホテルの一室にて集結していた。情報の揃ってきた今、本腰を入れて敵のアジトを探そうというところなのだが)
(タイミング良くホテル備え付けの電話が鳴り響く。素早く顔を上げたジョセフは受話器を耳に当てて、ホテルマンに取り次ぎを急いでもらった)

《ザ……ザ……しもし………もしもしジョースター様ですか……》
「フム。そーいうお主は誰じゃろうなァ〜?」
《SPW財団のものですよ!毎度毎度とぼけないでくださいッ》
「スマンスマン、最近成り済ましに出会ったもんでな!それで?どうなんだ」
《ええ、調査の結果ですが》

(受話器の隙間から漏れる音を聞いていたアヴドゥルと、ポルナレフが同時に唾を飲み込んだ)

《言われた場所には長年手入れされずに放置されている林しかありませんでした。誰かの私有地ということでも無さそうです、土地の入り口辺りには不法投棄されたテレビやらで埋め尽くされ……ん?》
「おい、どうしt《うわっ、ああ、ああああああ、なんだあのデカい……ガラクタが動いているぞッやめろ!俺に近づくなぁああああぁああぁあああああ》

「おいっ、おいッ!! ……だ、駄目じゃ、切れてしまったぞ」
「一体何があったって言うんだよォ!?」
「直ぐに向かうぞ!承太郎と花京院は……まだ学校らしいな」
「おいおい越美ちゃん忘れてんなよ」
(ポルナレフの言動に足を止めたアヴドゥルは、向き直って答える)

「忘れてなどいないが……彼女は仲間ではあるがなりたてのスタンド使いだ。わたしは正直、彼女を戦力に入れることにとても不安を感じる」
「……かわいそうだが説得力あんだよなァ〜。まっ!越美ちゃんや承太郎達が来る前に、先輩が解決してやれば何も問題はないってこったな!」
「承太郎達に連絡を入れておくよう、財団に頼んでおこう。越美には……」


「今回は被害者も既に出ている。何も言わない方がいいじゃろうな」
「イエッサー」






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