それ俺のスタンドです | ナノ
あんたがたどこさ


「小アルカナの一味の潜伏場所も、残りのスタンド使いの情報も知っている限りのことを教えよう。
その代わりといってはなんだが、私をお前たちの仲間にして貰えるかな」



「貴様!何が目的だ」
「正確には一時的に協力関係を結ぼう、という誘いなのだが、そうだな。私には運命を正す者としての使命がある。そしてそれには奴らの消滅が不可欠である、とだけ」
「元々そこから来た刺客だろう、貴様」
「組するメリットが断たれればもはや用は無い」
「その運命を正すってのが胡散くせー宗教みてーに思えるんだがなあ。確かエジプト道中にも───………」
『ポルナレフさん?』
「────とにかく、てめえの考えは筒抜けだぜっ!さっさと死ぬか情報を渡して自由になるか選べってんだ!……おい承太郎、前に出てきてどうしたんだよ」
「そうさな……おい」
(承太郎の呼び掛けにスタンドは顔を向ける)

「てめーは俺の死を望むか」
「今は望まない。貴様はまだ生き長らえなくてはならないんだ、とても重要な役割を貴様は担っているはずだからな」
「ほう。ならアヴドゥルはどうだ」
「そいつは花京院典明と同じく現在の時点では既に故人でなくてはならない。しかし協力関係を結ぶ間は決して敵対しないと誓おう」
「嘘くさいのう」
「ジョースターさんと同じく。自分が既に死んでいると言われていい気分はしないな」
「ならば最後の質問だ。“───────”という男を知っているか?」

「 ! 」
(スタンドの目がわずかに見開かれる。完全に虚を衝かれたといわんばかりにプレイ・Vが纏う雰囲気に焦りが見え隠れし、体の表面から汗が吹き出て滴り落ちた)
「何故その名を知っている」
「さあな。おいポルナレフ、少なくともこいつを殺すのはちとまずいようだ」
「なッ!?承太郎、お前今こいつに何を言ったんだよ!」
『え?ポルナレフさん聞いてなかったんですか?』
「越美には「聞こえた」のか?わたしには何一つ承太郎の言うことが聞こえなかったのだが」
「僕もだ」

『……なんだと?』
「承太郎、プレイ・Vに何言って脅したんじゃ?ワシにも教えろ!」
「年取って耳が遠くなったんじゃねーのかジジイ」
「なんだと!?」


「きみ」
(ぎゃあぎゃあと喧嘩を始めたジョースター家とそれを宥める花京院、アヴドゥル、ポルナレフ。少し離れた場所で彼らを眺める越美に承太郎そっくりの声が掛かった)
『何だよ』
「きみは空条承太郎の発した言葉を理解できたのか」
『ああ、皆が聞き取れなかったとか言っていたあれのことか。確か誰かの名前、だったような………』
(何だったっけな、と首を捻る越美を静かに見守るプレイ・V。そして数秒経ったのち、彼女の唇は正確にその名を刻んだ)
『“───────”。合ってる?何処の誰かは知らないけど、アンタと承太郎だけが知っているだなんて変だなあ。一体なんなのその人』
「やはり聞こえていたのか。ならば教えよう」



「そいつは俺の本体であり、つまりはスタンド使い。更に言ってしまえばそこで騒いでいる五人とあとの一匹と共に、DIOを倒すためにエジプトまでを旅した男。


  そして自分と引き換えに、何人もの運命を歪めた罪深い青年だ」






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