それ俺のスタンドです | ナノ
真実の消失とその証明


「刺客は二人とも捕まったみたいだな」
(部屋に一歩入室するなり、承太郎の姿を持つスタンドは口を開く。声質まで本物と似通っているためか、話し掛けられる度にクルセイダースの面々は身構える)
(その内の一人は苦々しくプレイ・Vに問いかけた。かのスタンドに始めに遭遇したスタンド使いであり、今いるものの中では一番この姿の変わる精神体を理解していると言っても良い)

『いい加減、その変身を解いたらどうなのさ?似たような外見の人間が二人いるなんてややこしいったらないよ』
「まんま承太郎のドッペルゲンガーだもんな」
「一度姿を変えると3日保ち続ける、何があろうと。そして逆に言えば3日はこのままだ」
「使い勝手のワリースタンドだよな、オメーッ」
「おい、こらポルナレフ」


「否定はしない。さて、その女は元々DIOの愛人だった人間だな」
「やはり分かるんだな?それでこのアマ、どういうスタンド使いだ」
「いいや、この女は普通の人間だ。つまりは何も知らされずここに連れてこられている……お前たちがDIOの敵であるということ以外は」
『でぃ、DIOの手下は一般人でもこちらを狙ってくるのか!』
「今更じゃな。旅の時もDIOから指示を受けたスナイパー達が狙ってきおったわい」
「それを遠距離型のハイエロファントと彼の……
 ……彼、とは誰だ?」
(その言葉に身を乗り出すプレイ・V。しかし、)


『ええっ、し、知らないよそんなこと!私はあんた達に着いて行かなかったから!
 スターさんの投石じゃあないのかそれ?三角筋とか大胸筋妙に発達しているし』
「スタンドに筋肉の付き方は関係……いやあるのか……?」
「お前が惑ってどうするんだ承太郎、仮にもパワー型スタンドだろう」
「だったらポルナレフのスタンドは甲冑と骨組みしか無いから貧弱ってことにならないか」
「何ッ!?じゃあジョースターさんのスタンドなんかただのイバラってことになるぜ!波紋と念写能力はそりゃスゲーけどよ」
「わ、ワシのスタンドだって力ぐらいあるもんねーッ!」
(突然始まったスタンド力自慢に、かのスタンドはズルリと肩を落とすことになった)



「(これが修正力か、または只の馬鹿話か。どちらにせよ“──”が彼らの記憶に蘇る事はない、な)話が反れてしまった。ちなみにそちらの猫の方だが早いとこ逃がしてしまった方が良いぞ。そいつはスタンド使いだ」
「成程、こっちが本命か」
『話に聞いたイギーという犬もスタンド使いだし、本当どこにどんなヤツがいるか分かったもんじゃないな』
「てめーもそのひとりだがな。おれもだが」
「ちなみにどんなスタンドなのかは教えて貰えるかな?」
「他のスタンド使いがそうであるように、その猫どもの持つ能力が何であるかは詳しく知ることはできない。猫の言葉がわかるなどと言い出す訳ではないが、
 ……ただ、そうだな。
 小アルカナの一味の本拠地にはあと三匹の猫がいてな、全部が全部全く同じ動きをするのを見たことがある」
「四匹全てがか!?OH MY GOD!そりゃ驚いた」
「話から推測するに、猫の動きによってこちらの動きは筒抜けのようだが」
『後を付けていたかと思えば追いかけられて、捕まって
 ……ああ、確実にバレてるなあ』

「で、

   なぜすんなりとその情報を教えたのだ」
(音もなく全員の視線が、プレイ・V───今だ本当の姿“ビジョン”を見せぬスタンドに注がれる)


「……ひとつ、提案があるのだが」
(未だ承太郎の姿を解かないプレイ・Vが、半透明の手錠を音もなく揺らして片手を顔の前にもってくる。真上に向けてピン!と人差し指を立てて社交辞令のような愛想笑いを浮かべた)
『おお……イケメンだ』
「JOJOの顔で優しく微笑まれるとなんか違和感あるぜ」
「おいそりゃどういう意味だ」


「わたしはボスの場所を知っている。更に残りの小アルカナがどこにいるかも知っている」
「交渉というわけだな。何が望みだ(身の安全か、解放か。どちらにしろ私達にこいつを逃がすという選択肢はないのだが)」
「ああ。

       わたしを、お前達の仲間にして欲しい」

「何だと?」
「………そりゃあ」
『どういう、意味だ』



                             続く


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