それ俺のスタンドです | ナノ
犬派か猫派かでいったら焼鳥派


「越美ちゃーん、なぁ〜んかドタバタあっち側の通路から聞こえている気がしてるんだが、気のせいかね?」

(気絶させた女の刺客を縄で捕縛する越美に、耳に手を添えながらポルナレフは尋ねた。視線の先には廊下の角があり、言われてみれば微かに怒鳴り声や荒々しい靴音が響いてくる)

『あちらも侵入者を発見したのでしょう。……全く、相手は姿を消すことが出きるってのにどうしてああも騒ぎ立てちゃうんですかね』
「だとしても不思議じゃあねえか?」
『何がです?』
「“透明になれる能力”を持つスタンド使いってよ、オレが各地を旅して出会ったのは越美ちゃんぐらいなワケ。同じような能力を持ってる人間ってのは中々出会えるはずが無いんだが、」
『……………確かに……どうして透明化のスタンド使いが二人も三人も集まっているのかと言われればそうですけど。「小アルカナの一味」の親玉が必死に探したんじゃないですか?』
「何のために?」
『ええ、と、私に疑いの目を持たせるため?でもそんなことをして何になるのだって話だよなあ……』


「おい、てめえらッ!ノンキしてねえーでそのクソ猫を捕まえろッ!」
『エッ!?』
「承太郎っ!?なーんだそのちび助はよ!?」
「説明は後だ!今はその子猫を捕まえることだけを考えろ!」
(突如角から飛び出してきた承太郎と花京院から俊敏に逃げていたその猫は、体を貫く錨が鬱陶しいのか足並みを乱しながらポルナレフと越美、今だ気絶する女刺客の横をすり抜けていった)

「お、オレはこの姉ちゃんを担いでくから越美ちゃん!猫の捕獲に協力してやってくれ!」
『任されましたーーッ!』
(大の男二人と女学生一人が、小汚ない子猫を追い回す姿は実に奇妙だ。数回角を曲がるときに職員とはちあわせたが三人と一匹が止まることはなく、肩や腕がぶつかった際撒き散らされた備品に足をとられながらもなんとか一定の距離は保って追跡を続けていた)

「………なあ、二人とも」
「言われなくてもとっくに気づいてるぜ」
『この先はジョセフさん達が待機してる監禁部屋の前になる……コイツ、やっぱり敵の手先か』
「! 見ろ、アヴドゥルが部屋の前で突っ立っているぜ。アイツ何する気だ?」


「相手が子猫……というのは少々驚いたが、そんなことではこの魔術師の赤(マジシャンズレッド)の炎は揺るがないッ!

            “赤い荒縄(レッド・バインド)”ッ!」
(ごう!と燃え盛る熱の固まりは常人に不可視な火炎の連なりとなり、周りの気温を急激に上昇させながら目標に迫る。突如目の前に現れた炎の縄に不意を突かれた猫は見る間に手足を拘束されてしまった)



「捕まえたんですか!ありがとうございます、アヴドゥルさん」
「礼など良いさ、それよりこの小さな刺客をジョースターさんの前に連れていかねばな。ところでポルナレフはどうした?」
「ハァッ、ハァッ、おめーらなんちゅー足の速さしてんだ!オレを置いていくなよオォ〜〜ッ!」
「ポルナレフ、前に女の子一人なら余裕で運べるとか言ってなかったか」
「抱えて全力疾走なんて誰も言ってねーだろがッ!ハアー、ハアー」

「なんと、刺客は二人いたのか」
『正確には一人と一匹ですがね……さ、早いとこコイツらふんじばって情報吐かせましょう。まだ刺客が残っている可能性も無くはないですから』
「それじゃあ私とポルナレフでもう一度見回りをするか。おい、行くぞ」
「ええっ、今走ってきたばっかだっつーのによォ!人使いが荒いぜえーアヴドゥル……」

「越美、その猫が逃げ出さないようしっかり持っとけ。花京院はこの女を一緒に担ぐぜ」
『了解』
「ああ、分かった」



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