それ俺のスタンドです | ナノ
やるべきことは


《巡回中、ポルナレフ&越美サイド》

『しかし、財団の人間をも欺けるスタンド使いが襲撃したとして。私達は特徴も何も知らされていないのに、どうやってそれを見つけるんだろうか』
「お?越美ちゃん、承太郎にスタンドのこと教えてもらったんだろ、特別授業の中で聞いたこたァねーか?“スタンド使いはひかれあう”ってよ

そら、お出ましだぜ!出てこいコソドロッ!!」
(突如チャリオッツが宙を裂く!すると悲鳴と共に透明な空気の中からブシュウッ!と鮮血が吹き出した)
「殺気でバレバレなんだよ、隠密行動ならもっと上手く……ってアレェ!?」
(不意討ちで精神状態が揺らいだかスタンド使いが姿を見せる。背の高いひょろりとした女だ。乾燥し充血した目を恨めしそうにこちらに向け、)

「でぃ……DIO様の………かたきを………」
『DIO?DIOって言ったのよね今』
「お前らなんかにッ!DIO様を呼び捨てにする権利なんて無いッ!!」
(手に持っていたナイフの刃先を一番近距離のポルナレフへ向け、意味をなさない奇声を上げながら突進!)
「おおッ!?」
(間一髪でひらりと横に交わし、気合いと共にチャリオッツの握るレイピアの柄で女性のうなじを強めに殴り付ける。女は呻き声をひとつ発すると同時、その場に倒れこんだ)


「承太郎のマネするわけじゃあねえが、やれやれだな、コイツも肉の芽で操られた類いの人間か?それとも……いや、コイツは違えな」
『肉の芽とは?』
「何、承太郎から教えてもらってねぇのかあ?まあいい、お嬢さん、コイツの額を見てみろ。………ツルッとしていて綺麗なモンだろ?DIOはその髪の先端から信用できない奴に肉の芽を植え付けるんだが、そいつはどーも人の考えを支配して思い通りにさせちまうんだ」
『そういうのもあるのか(そういえばDIO関連は一切触れてないな)
というか、嫌に現実味のある喋りなんですがまさか』
「ああッそうさッ!だがな、オレだって好きであんなゲロ野郎に従った訳じゃあねえんだぜッ!不可抗力って言葉は知ってるよなあ〜?」
『ええ、分かってますよ。吸血鬼なんて化け物にマジで従う奴はどこかオカシイ。心の代わりにどうしようもない邪悪が全身を巡ってんですよ』
「言うねェー」





《こちらも巡回中、承太郎&花京院サイド》

「さて、どうします?建物の内部を歩き始めて30分は経つけれど」
「変わった事はないのか」
「僕達の通った道にハイエロファントを張り巡らしてはいるんだが何の反応も無いな。強いて言えば財団員が数人慌ただしく僕のスタンドを踏んでいったことぐらいだ」
「てめー花京院、一般人とどうやって判断してんだ」
「スタンド使いならこの触手を避けるか、“わざと”踏んでいくのでね。それに、私のスタンドは引きちぎると」
「狂い悶えるんだろ、喜びでな……やれやれ仲間だというのにアブねーヤツだ」
(帽子を被り直す承太郎に、花京院はしたり顔でニヤリと笑った)
「よく覚えてるんだな。てっきりはじめの方の出来事は忘れてると思ってたよ」
「中々強烈な旅だったんでな、忘れるなんざ無理な話だぜ」

「それにしてもただ歩いているというのも暇だなあ……どうだい承太郎、ひとつ賭けをしてみないか」
「賭け、だと?」
「ああ。彼女、越美のことなんだが、君に惚れてるかどうかの賭けだ」
(承太郎の視線が鋭くなる)
「まあそんな顔しなくても良いじゃあないか。
 君さ、本当のところ彼女のことどう思ってるんだい?」
「……… ……… ダチだ」
「本当に?全く……ジョースターの血は君に臆病になれとは言ってないはずだが」
「てめーがジョースターの何を知ってやがる」
「近くでずっと見ていたし、それこそ強烈な旅だったんでね。君たちの一族を知るには十分な時間を取らせて貰った……ところで、」

(磨き上げられたローファーで床を擦り、花京院は警戒の目を後ろへ。同時に何もない筈の透明な空間、そこから突然色をつけたように気配の正体が現れる。
遠くからでも手入れされていないことが分かる軋んだ毛、目脂の酷い青色の瞳、
誰かに切られたのか不揃いなヒゲ。)


「………なぁ゛ん」
「僕達のやるべき事って何でしたっけ」
「少なくとも猫の保護、では無かった筈なんだがな」
(困惑か、動揺か、または呆れか。汗を垂らす二人の身構えた先には、光の屈折で辛うじて見える透明な“錨”に体を貫かれた、哀れな姿の幼猫があった)




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