それ俺のスタンドです | ナノ
見えた優しさと見えぬ悪意


「あらぁー越美ちゃん、承太郎から聞いたわよ!大変だったわねー」
『ホリィさ……いえ、聖子さん。お世話になります』
「イエス!貴女だったらいつまでもウチに泊まりに来てくれて良いのよ?なんならうちの子になっちゃう?なんてね、越美ちゃんのお部屋はこっちよ」
『んふふふ、聖子さんが母さんというのも悪くなさそうです。案内もありがとうございます』
「いいのよいいのよ!(承太郎が女の子を連れてくるなんて……もしかして本当に未来の親族になっちゃったりして!まだ気が早すぎるかしら?」

『…………あー、ホリィさん、じゃなかった聖子さん』
「……思ったことを何でも口に出すんじゃねえぜ、お袋」
「あらら、口に出しちゃってた?ごめんなさいね、今のは聞かなかったことにして頂戴な。さ、着いたわよ」







『(勉強道具良し、着替え良し、生活用品もある程度持ってこられた。居候のような状態になるとはいえあまり迷惑はかけられない……)』
(がらりと襖が開く)
「入るぜ」
『ああ、うん』
(軽い音を立てて襖が閉じられる、と同時に承太郎はその場に胡座をかいて座った)
(そしてあろうことか、秋本の目の前で彼は深く頭を垂れた)

『うん?      ん? なにやってるんだ?』
「すまなかった」
「………」
『………』
「………てめーは、俺たちの仲間だ」
『ああ、そのことか。別にもう気にしてはいない、スタンドに襲撃された時だって助けてくれたじゃあないの。私こそごめん』
「何がだ」
『この一ヶ月ぐらいあんたにスタンドの指導してもらったのに……全く歯が立たなかった。油断してしまった』
「そうか」
『おあいこって所で双方これ以上気に病むのは止めとこうか』
「次から特訓のレベルを上げるぜ」
『うげえ、只でさえスターさんの拳を見切るのには骨が折れるんだけどなぁ。だがたとえボディや顔面で受けたとしても私は幸せだ。なぜなら彼のパンチには愛と正義がつまっているのだからッ!』
「今すぐ死にてえか」
(凄みを増したスタープラチナが出現する)
『死にたくないのでちゃんとやります。明日からも宜しく、承太郎先生』
「………おう」


「承太郎ー、越美ちゃーん、こっちにいらっしゃいな!今日は越美ちゃんが来てくれた記念に出前のお寿司取りましょー」
(聖子さんの呼び掛ける声が部屋に響く)
『お寿司!?そんな、ただの居候みたいなモンなんだけど……』
「なんだ、生魚は食えねえのか」
『いやそうではなく。その、本当に良いのかと思って』
「食いたくねえのなら別のモン取らせるか。行くぜ」
『最後まで聞いてくれないか!?待って、私も行くから!』


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(ほの暗く薄い黒雲が垂れ込める空、ひっそりとその下(もと)にそびえる奇妙な洋館。光の届かない地下の一室で、狂ったような金切声をあげる女性、その傍らに泰然とした様子で佇む長身の男がそこに居た)

「何故だ!何故ジョースターの血を絶やすことが出来ぬのだ!?」
「お、落ち着いてください。おお、お、お身体に障りますぞ……」
「やはりあの宗教かぶれを行かせたのが間違いだったか、“運命の奴隷”などという胡散臭い新興宗教なぞを信仰しおってからに!奴は隙あらば私達をも滅ぼそうと画策しておったのは分かっていたのだ!」
「しか、しかし、し、し《ロニー》様……」

(ロニーッ!!その単語を聞いた瞬間、女の瞳に怒気が篭る!!手元にあった燭台をひっつかみ、男に向かってそれを投げた!!)
《ガシャアンッ!!》
(しかしまっすぐ男の顔に向かっていったはずの燭台は、瞬きのうちにその後ろの壁へと叩き付けられた)

「……あま、あ、あまり激情を現してはなりません。おこ、コ、ここき、子が流れ出ても良いというのですか」
「良い訳が無かろう!!ああ、私の愛しい子、すまないねェ〜〜ッヒヒヒホホホ、ホ」
(自分で自分を抱きしめるように膨らんだその腹を抱えると、もうその女の目線は宿しているであろうその胎児へと注がれたままであった)
(気が触れたようにぶつぶつと呟きつづける女を気にも留めず、男は無表情で言葉を繋げる)

「つ、つぎつぎつぎつぎ次のしか、しか刺客は二人組で派遣いたしましょう。なな、な、るべく早く承太郎だけでも始末せねば……それれ、それ、れが亡き貴女様の夫

        “DIO”様の遺志であるのですから」






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