それ俺のスタンドです | ナノ
敵襲


『………が   ぐ』
(皿も菓子も家具でさえ破損し散乱した部屋の中で)
(秋本はかの友人の姿をした何者かに、首を締められていた)


〈数十分前〉
(秋本が承太郎の偽物に気がついた時、何者かはすでに行動を起こしていた!長身から繰り出される蹴り上げは秋本を巻き込み机を天井に打ち上げる!)
《ガシャアアアアンッ!》
『っあっぶ、危ないなあ!』
(咄嗟に自身を透過し難を逃れた秋本は、割れた皿の破片を数枚投げつけ更に足払いをかける)

「……素人の動きだな、これは」
(破片がなんでもないように偽物の首や鳩尾に刺さり、足払いを軽い跳躍で避ける。そのまま全体重をかけて彼女の胴体を踏みつけた!)
『重っ……いなちくしょうッ!』
(完全に体が地面と偽者とに押し潰される前に抜け出し、錨を構える)

『(……いざ戦ってみると中々やりづらいな。味方と対峙するってのは)
 これ以上は私があんたを“透過”するッ!本物が来るまで大人しく、!』
「随分と身勝手な」
(目の前に顔が迫っていた。敵の顔だ)
『何のことだ、よ!背中がガラ空きだッ!』
(ブン!と獲物を敵の背中に突き刺そう、と)




『……………、な』
「来るかも分からん空条承太郎に縋っている時点で貴様、負けたな。やはり人は運命の奴隷でしかないということか」
『あんた、まさかッ!』


(スタンド体であるはずの錨を軽々と受け止め、緩慢な動作で秋本の首へと手を伸ばす……)

『(スタ……ンド……だったのか……こいつ、自身が!そして私の推測が正しければ………コイツは昨日の電話の時点、で、ッ!)が、グゥッ!このっ!』
(首を捕まれながら鎖を引っ張り、何とか男の手から獲物を取り戻そうと躍起になる。しかし秋本の喉に武骨な手が食い込み、酸欠になる方がちょっとばかし早かった!)

『ァ……ぐ』
「呼吸が出来ないんだな。スタンドが消えていく、だがその前にッ!」
(筋肉が盛り上がるほど強く錨を引っ張れば、スタンドと繋がっている鎖が摩れて耳鳴りのような金属音が響く。勿論これらは全て「スタンド」の括りに入っているため彼らにしか聞こえない)

ブチィッ!

『あ゛、』
(音を立てて錨が引きちぎられる、と同時にネイビィ・ソードは消える。精神の揺らぎによりスタンドが保てなくなったのだ)
「スタンド能力を発動させるとき、確かこのヘンテコな形の武器を通して透過させているのだったか。これでこちらの身の安全は確保された。と言うわけで」
(首を絞めていた敵スタンドの一部が溶け、首と手首にぐるりと巻き付く)

『!』
「それはおれの一部だ。キュッとやればいつでもお前は死ぬ、だがその前に世間話だ。スタンドの名前は“プレイ・V(プレイ・スリー)”本体はおれを発現させたと同時に取り込まれて死んだ」
『(なんだこいつ……勝手に自己紹介し始めたぞ……ここは時間を稼いで逃げ道を作るのが一番か)本体が死亡したのに、何でスタンドだけが一人歩きするんだ?』
「本体の思いが強ければ、もしくは発動条件の違いでも残る場合があるのだ」
『あるのか』
「ある。そして本体は貴様らが探している“小アルカナの一味”だ。たしか……「聖杯の騎士」……だったかな、外見はそうでもなかったが」
『(仮にも自分の本体だった人に辛辣だなあ)で、スタンドになっても忠誠心は変わらず、私たちを倒しに来たと』

「ちょっとばかし違うな。

   ……そうだな、貴様は“運命の奴隷”という集団を知っているか?」





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