君と未来を歩む | ナノ




いつものこと、いつものじゃないこと




昨日ハットリくんの真似をしてジャングルジムから飛び降りたらねんざした。一昨日は筋肉バスターの真似をしてイイダくんを抱っこしようとしたら殴られて青あざをつくった。
今日はなんだったっけ、あの、荷車?でっかい箱に二つ車輪を付けたやつに何人かで乗って遊んでいて、そしたら急に動き出してひかれそうになった。


「なんでいつもいつも危ないことばっかりするの!!」


目の前で担任のようこ先生と保険の先生がむずかしい顔をして怒っている。
なんでと言われても、おれは一度も危ないことをしたことはない。昨日のハットリくんごっこは出来ると思ったからやったんだし、イイダくんは足が浮く前におれの事を殴ってきたんだから怪我もいつもよりしてないし、今日の荷車?だってちゃんと車輪のとこにれんがが置いてあったのを確認して乗ってたんだから、何も悪いことはしていない。なのになんで怒られなきゃだめなんだろうか。


それを言ったら先生達はものすごく長くため息をついた。なんでだ。

「よう子先生」

保健の先生がようこ先生の方をぽんと叩いた。

「なんでしょう」
「誰か大人しい子をつけるというのはどうでしょうか」
「というと?」

先生たちが話し合いを始めたから、もう行っていいかと言ったら良いと言われたので、挨拶をして教室にかばんを取りに戻った。

「それはですね……」









次の日。

『なんでおまえいんの』
「僕だってきみのそばになんか来たくなかった」

おれの目の前にはお隣さん、つまり露伴くんがいる。いやこいつに"くん"はつけなくていい、露伴にしよう。

『今からおまえ露伴な』
「僕はうまれてからずっとそのなまえだばか」
「なに、なにやってんのー……うわ、ロハンじゃん」
声がした方を向いたらアキとその仲間たちが居た。なんでおれと露伴が一緒にいるのかと聞いてきたら(最初におれが言った気もするが)、露伴は先生に頼まれたと返事を返した。
『えーッおれ露伴といっしょにいたくねェんだけどォーッッ』
「みぎにおなじだ」
こいつといっしょの気持ちなんてはきそうだ。げぇーっと舌を出してみたら、露伴もおれと同じ顔をしていた。また、げぇーっだ。


あのクレヨン事件からずっと、おれは露伴に話しかけたり遊ぼうと誘うことをやめた。誰が俺を叩くやつなんかと一緒にいたいと思うものか。その気持ちは俺の友達にも伝わっていたようで、アキやナナをはじめとした皆は露伴を無視するようになった。あのおませさんやその周りの女の子たちはかっこいい露伴くんに話しかけていたようで、その中の一人を好きなタイチが露伴の事を怒った目で見ていたが、それはまたべつの話だ。


二人でげーげーやっていると、やってきた仲間たちの中の一人が露伴の前に出てきて、どんとその体をつきとばした。


「おれらの幸彦にへんなかおすんなよ」
よろめいた露伴の髪の毛がゆれた。
「オンナノコのロハンくんはあっちでお絵かきしてろよなー」
『露伴おとこだぞ』
タイチに叩かれた。なぜだ。

露伴は目を釣り上げてこちらを見ていたが、やがてそっぽを向いて教室のすみっこの方に行ってしまった。
ナナたちはそれを追いかけることはせず、庭で遊ぼうといってかけていってしまった。
俺もそのあとを追いかけたが、その時に向こう側の露伴にちらりと目をやったのだが、




その時の、不細工なかおで涙をこらえていた、あの顔をなぜか忘れられない。






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露伴くんは幼少期はいじめられっこだったという脳内設定に悶えるこの頃。
そして荷車はリヤカーだった。







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