君と未来を歩む | ナノ




にぶんのいち



『いやー………』


『もう三年生か……』
「時が経つのは早いな」
河原で露伴とのんびりしている5月。
小学校に入ってから初めて、めでたく露伴といっしょのクラスになれました。それだけ。




いや本当にそれだけなんだ。正直何も無さすぎてふぬけている気がする。
『最近何かあったっけ』
「太一の告白回数がこの間100越えたらしいぜ」
『マジかよ。数えてんのいったいだれだ』
「自己申告じゃあないのか?雪ちゃんが数えているとは考えられないし」
何か話をするといってもこのぐらいしか無いわけだ。
おれの力のくんれんは続けているけど特に目新しいこともない。
何か変わったこととかないかと最近聞いた話を思い出してみる。

『そうだ、この前あきおが林の小道の先に変な建物見つけたって言ってたぜ』
「……行くのかい?」
『行かねえよ!知らないところはもうこりごりだ』
「………そうかよ」
右のかたが温かくなったのでそちらに目を向けると、露伴が難しい顔で頭を乗せていた。下を見れば小さく服をにぎっている。

今のギャグだったんだけどな。残念だ。川に目を戻す。



むしろ今までが変すぎたんだろう。今、なんとなく露伴や他の子とのずれを感じる。くわしくどこがとは言えないけれど、やっぱりおれとその他でちがう所にいるような感じだ。

…………。
本当におれは小さいころからここにいたんだろうか。
本当に露伴と出会ったんだろうか。
プールにつき落とされた後ずっと目が覚めてないんじゃあないのか。
友達はいるんだろうか。
もしかしたらみんな夢なのかもしれない。
あの後おれはあんじゅうろうからにげられたんだろうか。左目もつぶされて、いいように使われてるんじゃあないのか。
もしかすると“力”なんてものはなくて、いや普通現実にちょうのうりょくなんてないだろう。だったらあのねこをどうやって土に埋めたのだったっけ。やっぱり全部夢なんだろうか。


もう一度露伴を見る。風がすずしいからだろうか、頭をおれにのせたままうとうとしはじめている。



こいつがもしも。








「いきなり何してるんだ」
ぐしゃぐしゃになったかみの毛を直す露伴はいつもと全く変わりはない。
『なでたいと思ったらなでる、それがおれ!』
むねをはって答えれば、あきれたようにため息をつく。それが普通の流れだ。

ひまだと何かだめなことを考えてしまう。考えたくないことまで考えてしまう。
だけど今までの事をよく思い出してみると、露伴がそばにいるのならばだいたい大丈夫だろう。難しく考えるのはめんどくせえしな。
『なあ露伴』
「なんだ」
まだ前がみを直せなくてぶすくれてるそいつのうでを引っ張って歩き出す。
『おめーサンマは好きか?』
「……出会ったときから思うけれど、きみのその思考回路はどうなってるんだ?」
『夕飯はおれんちな』
「はあ?」

まぬけな声でいみが分からないと伝えてくる露伴は、それでも大人しくおれの後ろについてきてくれる。
今日の夕ごはんは何にしようか。そろそろ新しい料理にチャレンジするのもいいかもしれない。



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