おこるすがたは
『………つーわけでさ、そりゃ急にねつ出してしかもにゅういんってなったら心配だろぉ〜っ、だからおめーはどこにもおこる所なんて無いんだぜ』
もんだいです。今おれはだれと話してるでしょうか。せいげん時間は10びょうです。
「そんなこと僕の知ったことじゃあない!!」
答えは露伴でした。せいかいしてしまったあなた、おれの代わりに露伴のいかりをしずめてください。たすけて。
冬休みもそろそろ後半の一日。
けっきょくあっちに行っている間は一度も露伴と会わなかったし、でんわもしなかった。ずっと仗助につきっきりだったからしかたないと口では言ったものの、目の前でせいだいにへそを曲げる露伴を見ているとなんだかわるいなあ、と思ってしまう。
やっぱりおれがなんとかしなくちゃあだよな。
正座の形からうでだけ前に出して、足をずりずりしながら自分のベッドにこしかけている露伴に寄っていく。
「………、おい、ぼくはまだ動いていいと言っちゃあいな『露伴』」
声をかけると同時にぽす、とそいつのひざに両手をおく。お、ちーっとだけたじろいだ。
『《何したらゆるしてくれる?》』
言え。
『………それで料理を作れとは、おめーもとことんひねくれてんなァ〜……おれって女々しいことはあんまりしたくねえんだよぉ』
「きみの唯一の得意分野なんだ、ごちゃごちゃ言わずに作れ」
露伴の出したじょうけんってのは、自分のために一週間はたらけというものだった。
露伴の言ったことはなんでもハイハイと聞かなくちゃあならない、つまりめいれいにはゼッタイフクジュウだ。まるでおれがおれの力にふりまわされてるような感覚だぜ、クソっ!
「あら、露伴くん今日はこっちで食べるの?」
「ええ。おじゃましてます幸彦のお母さん。お帰りなさい」
そんでちゃっかり大人に良い顔作るんだもんなぁ〜、コイツはこずるいぜ!
今すぐこの料理をしている手を止めてアイツをぶんなぐりに行きたいけど、それだと料理がこげちまうし、お母さんには絶対おこられるし、何よりもう言うことを聞くってやくそくしちまったんだ。やるしかない。
「待ってる間幸彦のこと描いてたの?上手ね」
「ありがとうございます」
アイツおれがオムライス作ってる間絵なんかかいてやがったのか!!はらいせに露伴のオムライスだけ玉子そぼろ丼にしてやる!
そう意気込んで玉子にさいばしをつっ込んだ時だった。
「なんだか幸彦のこと描いてる露伴くんって幸せそうよね、見てるこっちが恥ずかしいぐらいに」
「『………えっ』」
お母さんがなんか言ってきた。え?何?だれがなにしてなんだって?
「そ、それはどういう、」
だよなびっくりするよな!と思ったとき玉子がぶしぶしと音を立て始めたから、あわてフライパンをにぎりしめたおれはそこで聞くのを止めた。
「露伴くんってホント、うちの子のこと大好きねぇー」
「………………………!」
その日の夕ごはん、うそみたいにだまりこくった露伴はただのオムライス食べマシンになっていた。
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