お前とおれ
あのスケッチブックの時からずっと、露伴とは一度も遊んでいない。それどころか、口もちょっとしか聞いてくれなくなった。
『なあ、露伴』
そうじの時にきちんと並べておいたつくえを、わざわざおれと自分のところだけちょっぴり開ける露伴。
『あのさァ、』
帰りのバスん中でもまどの外ばかり見ている。わざわざおれのとなりに座るのは、やっぱりまだ怒っているからだろうか。
『ろはん、あそぼう』
遊びにさそってもスケッチブックにクレヨンをおし付けるだけで、おれの言うことなんてこれっぽっちも聞いてない。どころか、
「ろはんー幸彦ー、遊ぼうぜー」
「分かった、今行くよ。」
他のやつらが来たらすぐに、ぱたんとがようしを閉じて行ってしまう。
「ああ、西之谷は来ないってさ。胸でもいたいのか、なァ?」
当てつけのようにニヤリと笑って。
そろそろおれたちも年長さん。クラスは3つあって、だから露伴とまた同じクラスになるかは分からない。ナナとタイチとアキ、あとイイダくんはべつべつでもまた遊ぶからいいけど、ケンカまっさいちゅうの露伴とはもしかしたら。
『さみしいなァ』
ナナともアキとも離れてたってへいきなのに、なんで露伴はだめなんだろう。
家がとなりどうしだから?友達になってからはずっとくっついてきてたから?
でもクラスは離れても家ははなれない………ハズだし(また引っ越さないならな)、他のやつと遊ぶようになっても正直ひとりだちした子どもを見るおとうさんの気分だった(ちょっとさみしいとかはひみつだ)。
って、あ。
…………
『………そういや〜よォ〜〜、おれとおまえってまだ会ってからいちねんたってねえンだよな〜〜〜〜ッッ』
いつも通りむししてくる露伴のせなかに、そう言ってやってスモックをつかむ。
「なんだい西之谷、君にしてはよくもった方じゃあないか」
顔だけこちらによこして、ヘッと鼻をならす相手。
「僕としてはそのノーテンキでノータランな頭だ、すぐに忘れて終わりだと読んでたぜ」
『そうかよ』
服をにぎる手に力を込めて、むりやりこっちを向かせる。小さくうめいたのにちょっとだけやり過ぎか、と思ったけど、今からやることは男どうしのしんけんしょうぶ。
このぐらいで気ィ使っちゃあ逆にシツレイってもんだ。
「…………どうやら、仲直りのふんいきじゃないみたいだ」
『なかなおりはしねぇ。でもこれっきりでもないんだ』
いつも女の子にきゃあきゃあ言われている顔がゆがんで、どういうことだと目だけで言ってくる。
色々考えておれは思った、露伴がおれにくっついてたのも、スケッチブック見ておこったのも、おれがさみしいと思うのもぜんぶ。
『おい』
なあ露伴、おれたちはまだホントの友だちじゃあなかったんだよ。
『ケンカ、しようぜ』
もっとおまえのことをしりたいんだ。
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