君と未来を歩む | ナノ




リセット



言葉通り、露伴は次の登校日から一切おれのクラスに近寄らなくなった。
それだけじゃない。登下校や休日でさえそいつの姿を見かけない、見かけたとしても一切会話は無し、完全におれをいないものとして扱ってくる。
寂しいというよりもどうしてだ?という気持ちの方が大きかった。

あいつはあの日何を思って、おれのそばから消えたんだろう。




「幸彦よぉ、お前なんかやらかしたのか?」
心配してくれたのかあきおが声をかけてきたが、そんなのに構っちゃいられない。
なぜ離れていったのかのか、その原因をひねり出すのに必死なのだから。
危険な超能力が今さら怖くなった?ありえる。
弱っているところを見て幻滅した?ありえる。あいつは友達は選ぶ方だ。
だけど、そんなの直しようがないじゃあないか。どうすればこんな非現実なモンを捨てられるか分からないし、人間だから弱りもする。いつでも強い人なんてどこにも………待てよ?


利用価値が無くなった、とかはどうだ?


『そうか!そうだったのかッ!』
「うおっ」
沸き上がる感情のままに立ち上がれば、激しい音を立てて椅子が倒れる。隣でのんきに驚いてやがるヤツをとっちめて、勢いにのって詰め寄った。
『お前ッ!岸辺露伴は今どこにいるッ!!』
「な、なんだよ急に!えーっと、露伴なら今………」





あの猫の事件の時から!おかしいと思ったんだッ!!
「超能力を使えるようになった」なんて大ボラも良いとこな異常ををさといあいつが信じるはずがない!だのにそれが真実だと分かったからこそ「傍にいる」「親友だ」などと言葉でおれを支配したに違いないッ!全ては自分の良いように超能力をモノにするため!


引き戸を力一杯開ければ、《バァンッ!》とその場でばらばらに壊れてしまいそうな音を図書室に響かせた。ビックリして何人かこちらを振り返っているが、俺の目的はただ一人、窓際の席で一心不乱に何かをスケッチしている人物。
『岸辺露伴………てめーはよぉ〜……』
カタリ、と静かに鉛筆が置かれる。

久々に見た「元」親友の振り返ったその顔は、全くなにも変わっていなかった。
「やっと来たか。約二十日目にしてやっと……ちょっと遅すぎるんじゃあないの?」
『トボけるなよこの悪人がッ!表にでやがれ!』
「しばらくぶりの親友の顔を拝んでおいてそれはないだろう……西之谷幸彦」

何を悠長に笑ってなんかいられるんだこの男は!こいつの企みは全てばれているというのに!
“おれの超能力を良いように利用する”!ただそれだけのために特訓という名目で、四年間も傍でおれを監視し続けていたに違いないのだからッ!
「だが良いだろう。僕も久々に君と話がしたいな。行こう」
その言葉を待っていたんだ。おれはそいつが立ち上がるのを見届けてからくるりと出口に向かって歩き出す。


と、後ろの気配がその場から動いてないことに気づく。何をやっているんだこいつは。

「幸彦、わざわざ上履きを脱いできたのか」
キョトンとした顔でおれの靴下を指す露伴。こんな雰囲気のなかで何をのんきに人間観察しているんだ、早く出なければ周りに迷惑だろうに。
『だからどうしたってんだよ』
「いや、あんなに頭に血が昇っていた様子だったのに……ふふ、はは、いや何でもない。注目されているし行こうか」
なんだこいつは。
一人で勝手に笑いだした変なやつを置いてさっさと歩き出せば、あとから露伴もついてくる。
そう言えばこうして二人、連れだって歩くのも久々だ。じんわりと暖かいものが体に広がるのを感じるけれど、それがこの長い間アイツのお芝居だったかもしれないと思うと……急速に体が冷えていくのを感じた。







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妄想猛々しいにもほどがある暴走機関車主人公。
最近一部を読んでいるからか露伴の口調がディオと被る被る。




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