先輩と俺の4時間目 俺の机の中で窮屈そうにしているのは名前先輩の英語辞典。 昼休みに返す約束をしたソレは、たった1時間だがよく働いてくれた。 いや、実際にがんばったのは俺のほうやねんけど。 机の中に左手を突っ込んで、ソレに手を伸ばす。 そういえば名前先輩、4時間目はサッカーや言うてたな。 どうせみんなで揉みくちゃになってボールを追いかけているに違いない。 サッカーボールに遊ばれている名前先輩がすぐに思い浮かんで、少し、口元がゆるんでしまった。 この想像はきっと、外れてはいないだろう。 そしてお昼に会った時、サッカー楽しかったって言うんやろうな。 前を向けば、黒板には回路図だったり、オームやらアンペアやらの計算式が踊っている。 どうせ先輩は着替えるのが遅いんだから、ゆっくりノートを取ったのでも間に合うやろ。 |