私と後輩の3時間目 起立、礼、着席。 委員長の号令から始まる3時間目。 2時間目の英語に引き続き、退屈な数学。 しかし今の私は、退屈であるはずの数学なのに嫌に目が冴えてしまっている。 それは多分、いや絶対さっきの休み時間のせいだ。 いいや、休み時間というよりも、財前のせいだ。 普段自分からは決して触ってこようとはしない財前が、自ら私に触れてきた。 なんだったんだろう。 私から財前に触れるというのはよくあることだ。 バシッと叩いてみたり、ニヤニヤしながら頭をなでて見たり。 そんなときでも財前は、されるがままか、じと目でにらんでくるかのどっちかだ。 いま考えてみたら、財前から触れられるというのは初めてかもしれない。 そのくらい非日常的なことなのだ。 いま授業でやっている三平方の定理もよく分からないけど、財前の行動の意味も分からない。 いや、意味なんて実は無いのかもしれない。 でも私には、すごく、なんていうか不自然で、変に緊張してしまったんだ。 なんで緊張してしまったのかは、今の私には、まだ、わからないような気がした。 |